こんにちは。気象予報士の今井明子です。
秋も深まってまいりました。冬へと季節が進むにつれて、草や木の葉が枯れていきます。
この状態のことを末枯れといいます。末枯れと書いて「うらがれ」と読む。なんとなく「うらぶれた」という言葉と語感がよく似ていて、寂しく切ない気持ちになるのは私だけでしょうか(ちなみに「うらぶれる」は漢字で書くと「心ぶれる」となります。「末枯れ」とは字が違うのですが、それでも受ける印象が似ていると私は思います)。
しかし、草花の枯れた姿というのは、よく見ると面白いものです。個人的にはアジサイの枯れ姿はシックで趣があり、これはこれでいいものだと思います。ドキッとする枯れ姿といえば、ハスです。花弁や実を落としたハスの花托は、廃墟になった建物に備え付けられたシャワーのような独特の禍々しさが漂います。うつむいたヒマワリの枯れ姿も同様で、目をそむけたいのに、思わず目が吸い寄せられてしまう、不思議な魅力があります。
末枯れならではの楽しみもあると思います。路上の枯葉はサクサクと気持ちの良い音を立てるので、わざわざ踏みに行きたくなります。雑木林は木々の葉がなくなるため、空が明るく広くなります。むせかえるような夏と違い、この季節はカラッとした爽やかな空気なので、散歩すると気持ちがいいです。
花や新緑の季節のような鮮やかさはありません。でも、肌を刺すような寒い風が吹く前の、この季節を楽しみたいと思います。
今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
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