今日の読み物

お買い物

読み物

特集

カート内の商品数:
0
お支払金額合計:
0円(税込)

空っ風からっかぜ

旬のもの 2024.12.14

この記事を
シェアする
  • X
  • facebook
  • B!
  • LINE

こんにちは。気象予報士の今井明子です。
冷たい風が身に染みる季節になってきました。
この季節、天気予報を見ると、「西高東低の冬型の気圧配置」「北寄りの風」などという言葉をよく耳にします。

この季節によく吹く、乾燥した冷たい北寄りの風のことを「空っ風」といいます。特に関東地方や東海地方にかけてよく吹き、上州(群馬県)では上州名物をあらわす「かかあ天下と空っ風」という言葉もあります。

この空っ風の正体は、冬の季節風です。
冬になり、北半球の特に高緯度に、太陽の光があまり当たらなくなると、ユーラシア大陸のシベリア付近がキンキンに冷えて、その地面と接する空気も冷やされます。そして、シベリア付近には冷たく乾燥した空気でできたシベリア高気圧ができます。

シベリア高気圧からは、冷たく乾燥した風が吹き出します。これが日本海を渡るときに、日本海から水蒸気をもらって湿り、日本列島の中心付近にある山々にぶつかって大量の雪を降らせます。こうして冬の日本海側では世界でも類を見ない豪雪地帯になるのです。

そして、雪を降らせた季節風は再び乾燥し、山を越えて太平洋側に吹き降ります。これが空っ風です。冬は空気が乾燥し、乾燥肌や静電気などに悩まされるものです。その空気の乾燥に一役買っているのも空っ風なのです。

さて、世界には「局地風」と呼ばれるその地域ならではの特徴的な風がいくつかあります。空っ風も局地風のひとつです。阪神タイガースの歌でおなじみの「六甲おろし」も、やはり冬の季節風がもとで発生する局地風です。

「北風は寒い」というイメージがありますが、シベリアから吹いてくる風なら確かに寒いはずです。空っ風が身に染みる季節になると、早く家に帰って暖かい鍋をつつきたくなります。

この記事を
シェアする
  • X
  • facebook
  • B!
  • LINE

今井明子

サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。

記事一覧

今井明子公式ホームページ