疲れが取れない現代人にとって、手軽で美味しく元気が出る食材は心強い味方です。その中でも、日本の伝統食品である「餅」は、実は中医学的にも非常に優れた疲労回復の助けとなる存在。けれど、ただ食べるだけではその力を十分に引き出せません。中医学の知恵を借りて、食材の性質や組み合わせを工夫することで、餅をもっと効果的に活用できます。
餅の中医学的な特徴
中医学では、食材の「性味」と「帰経」に注目します。餅の主原料であるもち米は、温性で甘味を持ち、主に「脾胃」を補う性質があります。脾胃は体のエネルギーを生み出す源であり、ここが健やかであることが疲労回復の鍵となります。
もち米には次のような作用が期待できます:
•補気作用:体のエネルギー不足(気虚)を補い、やる気や元気を取り戻す。
•健脾益胃:胃腸を整えて栄養の吸収を助ける。
•止汗作用:寝汗や日中のエネルギー漏れを防ぐ。
つまり餅は、短時間で体に力を与える、忙しい人にピッタリの食材です。
疲労回復におすすめの餅レシピ
餅はそのままでも効果はありますが、相性の良い食材と組み合わせることで、さらに力を発揮します。
•材料:餅2個、黒ゴマ、きな粉(大さじ1)、黒糖
•効能:補肝益腎・養血潤燥
黒ゴマは血を養い、髪や肌の状態を整えます。きな粉は脾胃を補い、黒糖が気血を巡らせることで、相乗効果を発揮。
•材料:餅2個、生姜薄切り、だし、蜂蜜
•効能:温中散寒・補気健脾
生姜で体を温めつつ、蜂蜜でエネルギーを補給。冷えやすい方や寒い季節に最適な一品です。
•材料:餅2個、ナツメ、クコの実、水、砂糖少々
•効能:補血養心・滋補肝腎
ナツメは心と血を補い、クコの実は目の疲れや肝腎のサポートに。デスクワークが多い方におすすめです。
餅を食べる際の注意
1.量を控えめに:1回に餅1〜2個程度が適量。特に夜遅くの摂取は控えましょう。
2.消化を助ける工夫を:餅は「腹持ちがいい」といわれますが、それはイコール消化しにくいということ。胃腸が弱っているときは避ける、生姜や大根おろしを添えるなど、胃腸をいたわった食べ方をしましょう。
3.体質に合わせる:冷え性の方は体を温める生姜や黒糖を、体に熱がこもりやすい方は小豆や緑豆スープを合わせて。
4.肌荒れ時は避ける。餅の原料のもち米には、ニキビや肌の炎症を悪化させる成分が含まれています。肌が炎症を起こしているときは、餅やもち米を使ったおかきやおせんべい、おこわなども控えましょう。
最後に
餅は手軽で美味しい疲労回復の味方。けれども中医学的にその性質を理解し、組み合わせを工夫することで、その効果を最大限に引き出すことができます。この冬は、ぜひ餅を日々の食卓に取り入れ、体を内側から元気にしてみてください。一口の餅が、あなたの日常を少しずつ変える力を持っています。
櫻井大典
国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。
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