私たちの体は、日々の食事によって支えられています。特に寒い季節や冷えを感じやすい人にとって、「体を温める食べ物」を意識して摂ることはとても大切です。中医学では「陽気(ようき)」という体を温めるエネルギーが不足すると、冷えや疲れ、消化不良などさまざまな不調が現れると考えます。そこで今回は、中医学の視点から体を温める食べ物についてお話ししましょう。

体を温める食材とは?
中医学では、食材には「寒・涼・平・温・熱」といった性質(五性)があると考えます。体を温める食材は「温性」「熱性」に分類され、これらを積極的に取り入れることで、冷えの改善につながります。
温性・熱性の食材の特徴
ゆるやかに体を温め、日常的に摂取しやすい
例:栗、にら、ネギ、鶏肉、かぶ、かぼちゃなど

強く体を温める作用があるが、摂りすぎると熱を持ちすぎたり興奮気味になったりすることも
例:唐辛子、シナモン、胡椒、にんにくなど
特に、冷えが強い人は温性の食材をベースにしながら、適度に熱性の食材を取り入れるとよいでしょう。
おすすめの体を温める食材
生姜は、体を温める代表的な食材。中医学では「散寒解表(さんかんげひょう)」といって、冷えを取り除き、風邪の予防にも効果があるとされています。温める効果を高めるには、乾燥させた「乾姜(かんきょう)」や黒糖と組み合わせた「生姜湯」がおすすめ。

ねぎやにらは、体の陽気を補い、血流を良くする食材です。特に寒い季節には、スープや炒め物に加えると、体の内側からポカポカと温まります。
肉類の中でも、羊肉・鶏肉は温性の食材として知られています。特に羊肉は「補腎壮陽(ほじんそうよう)」といって、腎を強化し、冷えや疲れやすさを改善するとされています。寒い冬には羊肉のスープがぴったり。
かぼちゃやかぶは、胃腸を温め、消化機能を高める食材です。消化力が落ちると体が冷えやすくなるため、こうした食材を取り入れることで、体の内側から温めることができます。
スパイス類も体を温めるのに効果的です。ただし、唐辛子のような熱性の食材は、摂りすぎると逆にのぼせやすくなるため、適量を心がけましょう。
栗は身体を温めて元気にする「壮陽(そうよう)」の働きをもっています。五臓の腎が弱り、足腰のだるさや頻尿などがあり、冷える場合は是非ともおすすめしたい食材です。

体を温める薬膳レシピ
生姜と黒糖の温活ドリンク
●材料
生姜(スライス) … 5枚
黒糖 … 大さじ1
水 … 200ml
●作り方
鍋に水と生姜を入れ、中火で5分ほど煮る。
黒糖を加えて溶かし、火を止める。
カップに注ぎ、ゆっくり飲む。
※体が冷えたときや、風邪の引き始めにもおすすめです。
羊肉とねぎの温活スープ
●材料
羊肉 … 150g
ねぎ … 1/2本
生姜(スライス) … 3枚
塩・胡椒 … 少々
水 … 500ml
●作り方
鍋に水を入れ、羊肉と生姜を加えて弱火で煮込む(30分)。
ねぎを加え、さらに10分煮る。
塩・胡椒で味を調えて完成。
※冷えが強い人や、疲れやすい人にぴったりのスープです。
体を温めるための生活習慣
食べ物だけでなく、生活習慣を整えることも大切です。
・冷たい飲み物を控える → 温かいお茶やスープを意識的に摂る。ただし、あったかい飲み物をいくら飲んでも冷え性は治りません。それどころか、どんなものでも水分の飲み過ぎは、冷え体質を作り出す元になるので、食事のスープ以外は、喉が渇いたときに一口飲む程度にしておきましょう。

・適度な運動をする → 筋肉を動かすことで、熱を生み出しやすくなる。
・お風呂に浸かる → シャワーだけで済ませず、湯船に浸かって体を温める。
・腹巻きを活用する → 腹部を温めることで、内臓の冷えを防ぐ。
・薄着をしない → 肌を露出することで熱が逃げます。周りに合わせなくていいので、しっかり防寒を。
まとめ
体を温める食材を取り入れることで、冷えを予防し、健康を維持することができます。毎日の食事に「温性・熱性」の食材を意識して取り入れながら、生活習慣も見直して、体を温める習慣をつくっていきましょう。

櫻井大典
国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。
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