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山桜やまざくら

旬のもの 2025.03.22

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こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

道行く人々の服が少しずつ軽やかになり、気持ちもどこか明るくなってくるこの頃。
春の訪れはあちらこちらで感じられるものですが、やはり私たち日本人がもっとも「春」を実感するものと言えば、桜の開花なのではないでしょうか。

桜といえども、その花の姿形や色、開花の時期など、種類はさまざまです。
皆様にとって一番身近な桜がどの種類かはわかりませんが、中でも「山桜」は日本固有の原種で、山野に自生している桜を総称して言います。
日本各地に広く分布していますから、きっと皆様も、どこかで「山桜」を目にしたことがあるのではないでしょうか。
無骨な山肌に柔らかなピンク色が折り重なる姿は、まるで野山の自然そのものも、春の訪れを喜んでおしゃれを楽しんでいるかのようです。

桜の中でも高木とされる山桜は、大きいものでは20~30メートルに到達することもあります。
特徴は長寿であること、そして生長は比較的ゆっくりで、発芽から開花までは早くても5年、長ければ10年以上とも言われているのだとか。
ゆっくりと、でも着実にその地に根付き、しっかりと高く伸びて力をつけたら、満を持して花を咲かせる……。大器晩成型とも言える、努力の花ですよね。

それにしても、桜の花はひとつひとつの花弁をみるととっても控えめで淡い色なのに、満開になった姿やその樹木が連なっている様を遠くから眺めると、どうしてあれほど「あたたかな色」に見えるのでしょうか。
私は、桜の木がどこか、その姿をもって私たちに「団結して生まれるあたたかさ」を教えてくれているようにも思えてくるのです。

もちろん、今の時代はより「個」が尊重される世の中だと言えますが、もともと「自分ひとりの力だけでは生きていけない」のが人間。
自分以外の誰かと団結して、それぞれの持つ力を合わせることで、大きなことを成し遂げられるものです。
そういった意味では、どんな時代であっても、人と人とが結束してゆくことの大切さは変わらないと言えるのではないでしょうか。

日本人は昔から桜を、自国の春を代表する花として深く愛してきました。
厳しい冬を乗り越えて一斉に咲き誇り、美しい姿のまま潔く散っていく様が、人としての魅力的な生き様を想わせたのかもしれません。

花の姿は健気で純粋で、欲や雑念の多い私たちにとっては、学ぶことが多いのではないでしょうか。
人間だって山桜のように、たとえ時間をかけてでも、美しく花を咲かせる力をつけてゆくことが大切ですよね。
時間の流れが激しく、せわしない現代社会ではありますが、私たちも焦ることなく着実に生きて、互いに協力し合いながら、この世の中で美しく咲くことができる人生を目指したいものです。

今年の春は、どこかで山桜を見たら、皆様もその美しさを目に焼き付けてみてくださいね。

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紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

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