今日のお話は「くさそてつ」です。
くさそてつは日本各地の山野に群生するシダ類の多年草で、観葉植物としても人気があります。ソテツ科のソテツの葉に似ていることにちなんで名付けられたと言われています。
ソテツとは沖縄、鹿児島、宮崎など南国に生息する常緑の低木ですが、安土桃山時代から江戸時代には日本庭園で使われるようになりました。例えば、京都でソテツを見られる庭園には、二条城、西本願寺、桂離宮などがあります。

春になると、くさそてつの若い芽が土の中から顔を出します。「こごみ」とも呼ばれ、昔から春の山菜として食べられてきました。先端がクルクルと渦を巻いたような姿をしており、人が「かがむ」「こごむ」様子を思わせることから、「こごみ」と呼ばれるようになったそうです。
天然のこごみの採れる時期は、地域によって変わりますが、4月から5月です。
近年は主に東北地方で作られているハウス栽培のこごみが、大体2月頃からスーパーなどのお店に並ぶようになりました。読者の皆様の中には、今年のこごみを満喫された方もいらっしゃるかと思います。
ハウス栽培のこごみは遮光率をあげて作ることにより茎の部分に翼葉ができにくくなります。クルクル可愛らしい先の部分と、シュッとした茎は料理をより綺麗に映えさせてくれます。

良いこごみをの選ぶには、渦を巻いている先端の葉と茎が鮮やかな緑色なものを探すと良いです。ただ鮮度を保つのは難しく、中の葉や茎が部分的に黒くなりやすいです。少し手間がかかりますが、黒くなった部分は手や包丁で丁寧に取り除いてください。
水を張ったボールの中で、先端の渦巻きを少しのばす感じで洗って汚れを取ります。茎の下部は包丁をいれて硬く感じる部分から切り落とします。アスパラガスの軸を切る目安と同じです。
こごみはアク抜きする必要がないため、調理が簡単です。少し塩を入れた熱湯に2分茹でて、水に軽くさらした後、ザルにあげて水気をきるだけです。
天ぷらにする場合は生のまま衣をつけて揚げます。

クセのない味で、少しぬめりがありシャキっとした食感です。
おすすめの食べ方を2つご紹介します。
茹でたこごみにポン酢、鰹節をかけて、醤油、マヨネーズなどでシンプルに味わってください。

もう一つは、茹でたこごみをサラダの飾りやステーキ・ハンバーグの添え野菜、お弁当の彩りなどにお使いいただくのもおすすめです。
私は毎月囲碁の講座のランチに8人分ほどイタリアン弁当を作るのですが、春は必ずこごみを詰めています。蓋を開けると「こごみが入っている!」「春だなぁ!」と歓声が上がります。
普段の食卓やお弁当に、小さいながらもユニークで可愛らしいこごみの姿と鮮やかな緑色で、春を演出してください。



川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
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