こんにちは、昆虫写真家の村松です。
トンボの中でも黒い羽を持ったトンボをご存知ですか?
ハグロトンボと呼ばれています。
カワトンボと呼ばれる仲間で、細長い体つきが羽の色と合わせて特徴的です。
アキアカネやオニヤンマのように有名なトンボではありませんが、黒い羽のトンボの話題になると見たことがあるという人が多く、印象に残る不思議な魅力のある昆虫です。
多くの場所では6月頃から見ることができる昆虫で、お盆の時期も活動的なので帰省した時に見かけたという人も多いです。
トンボの仲間は俊敏に飛び回る印象があるのですが、ハグロトンボの飛び方は独特で、ひらひらとチョウのように柔らかく飛ぶ姿が印象的です。
ゆっくり飛ぶので簡単に捕まえられそうですが、慎重に近づかないとすぐに逃げてしまいます。
そんな独特な雰囲気を持った昆虫だからか、神様の使いであるといった話もあります。
お盆の時期などは、ハグロトンボがご先祖様の霊を運んでくるといった言い伝えもあり、縁起の良い昆虫です。
普段は薄暗い場所を好み、追いかけようとすると林の中や軒裏に消えていく姿もちょっと神秘的に見えたのかもしれません。
羽の印象が強いので気づきにくいのですが、実はメタリックな色彩を持ったトンボです。
ゆっくりと近づいて写真を撮ってみれば、金属光沢の美しいトンボなのがわかります。
メスの腹部には金属光沢がないのですが、オスは腹部の長い部分もキラキラと輝いて美しいです。
昔、ハグロトンボがよく見られる、林近くのため池がありました。
湧き水を利用した場所で、水もきれいで静かな場所です。
そこにハグロトンボが産卵にやってきました。
ゆっくり水面に降り立つと、お尻を水につけて産卵する水草などを探しているようでした。
閉じている羽を、緩急をつけるように広げたり閉じたりしています。
時間の流れを忘れるような、いつまでも見ていられる光景でした。
そんな場所も年々減っているように思います。
たくさんの素敵な生き物たちが過ごす風景が少しでも残っていくように見守っていきたいですね。
写真:村松佳優
※日本の昆虫を撮影し、その魅力を紹介するWebメディア「ムシミル」を運営しています。ブックレットの制作もしているのでムシミルで検索してみてください。

村松佳優
昆虫写真家
滋賀出身、大阪在住。新しい命が芽吹き、生き物が活動を始める春が好きです。昆虫の散策や観察が好きで、見て、驚き、感動したことをWebメディア「昆虫写真図鑑ムシミル」に載せています。多くの人にその面白さや美しさが届けば嬉しいです。
