こんにちは。気象予報士の今井明子です。
夏空といえば、入道雲。輝く白い色の入道雲を見ると、「ソフトクリームみたいでおいしそうだな…」と思ってしまうのは私だけでしょうか。
入道雲の入道とは、お坊さんのことであり、坊主頭と雲の形がそっくりということで名づけられました。たしかに、モコモコとした頂上の形はそのように見えます。
さて、入道雲の正式名称は雄大積雲です。積雲というのは、いわゆる綿雲のことで、雲と聞いてイメージするような晴れた空にぽっかりと浮かぶ白い雲のことです。雄大積雲は、それが縦方向に発達したものです。
夏は暑い日差しで地面が照らされ、地表付近の温かい空気が上昇します。それで、積雲が発達して雄大積雲ができやすいのです。
このとき、上空に寒気が入るなどして、上昇気流が非常に強くなると、やがて上昇気流は対流圏の成層圏との境目にまで達します。それに伴い、雄大積雲も頂上が対流圏の成層圏との境目にまで成長します。上昇気流は成層圏にまで突入できないため、雄大積雲のモコモコとした形だった雲の上部は平らになり、横に広がるのです。その形は、まるで、一昔前の不良のリーゼント頭のようです(正式には、リーゼントというのは、あの髪型の頭頂部のでっぱりのことをいうのではないそうですが…)。ここまで雲が発達すると、雄大積雲は積乱雲と呼ばれるようになって、大雨や雷、突風などを発生させます。
入道雲は、上は輝くような白い色をしていますが、下の方は灰色です。これは、雲が分厚く、太陽の光が雲の中を通るうちに散乱されて人の目に届かなくなるからです。積乱雲にまで発達すると、雲が非常に分厚くなるため、もし真上に積乱雲が来れば雲は暗い灰色になり、あたりは薄暗くなります。空が急に暗くなったら、それは積乱雲が近づいているサイン。まもなく大雨や雷に見舞われることでしょう。外にいる場合は、すみやかに屋内や車の中に避難して、急な大雨や雷をやりすごしましょう。

今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
