こんにちは。気象予報士の今井明子です。
春の空はなんとなく霞んで白っぽく見えますよね。
その白っぽさの正体は、空気中に浮遊する砂ぼこりや黄砂、花粉などの不純物です。太陽の光が空気中の浮遊物によって散乱されるのですが、その粒が大きいと、すべての波長が散乱されて、白っぽく見えるようになります。牛乳が白く見えるのと同じ仕組みです。このような散乱を「ミー散乱」といいます。
晴れていても空は白っぽいのですが、薄曇りも多いです。春によくある薄曇りの日は、春曇りとも呼ばれます。
薄曇りとは、薄く雲に覆われていることを指します。気象庁では、空の9割が雲で覆われている状態で、巻雲(すじ雲)、巻積雲(うろこ雲)、巻層雲(薄雲)といった空の上層に現れる雲が中・下層の雲よりも多く、雨が降っていない状態のことを指します。
このなかでも、巻層雲は、薄く空に広がり、雲越しに太陽や月を見ることもできます。その際、太陽や月のまわりには暈(ハロ)と呼ばれる光の輪もできます。
よくある天気の言い伝えに、「太陽や月のまわりに暈ができると天気は下り坂」というものがあります。巻層雲は低気圧が接近すると現れるため、この雲が徐々に厚くなって雨雲になり、雨が降ってくるのです。
気象庁が使う気象用語には「薄曇り」があるものの、今では東京管区気象台と大阪管区気象台の天気の観測結果でしか使われていません。そのほかの地方気象台では職員が目視による空の観測をやめ、自動観測に切り替わったため、「快晴」と「薄曇り」という天気は発表されなくなり、「快晴」は「晴れ」に、「薄曇り」は「くもり」に含まれることになりました。快晴も薄曇りも防災上は重要ではないということで、このような運用になったようです。職員による観測がどんどん自動観測に切り替わるのはさみしいのですが、これも時代の流れなのでしょうね。

今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
