二十四節気は「小満」を迎えました。木々の緑は深まり、虫や鳥は活発に動き出す。あらゆるいのちが満ちていく季節となりました。汗ばむ日も増えて、いよいよ夏が迫ってくる気配を感じますね。
もうすでに梅雨入りしている地域も多いと思いますが、梅雨入り前に、毎年決まって腕まくりして取り組むのが「梅仕事」です。
梅仕事とは、梅が実をつける5月下旬〜6月頃に、梅酒や梅シロップ、ジャムや梅干しなど保存食を仕込むことを言います。梅の種類はさまざまで、小梅や青梅、完熟梅などがあり、それぞれに適した仕込み方があります。梅はクエン酸が豊富で、疲労回復や殺菌効果があるため、昔から暮らしのなかで重宝されてきました。さらに長く保存が効くことから、梅雨入り前にたくさん仕込むことが、季節の習わしとして受け継がれてきたそうです。
私も毎年この季節には梅仕事をしていますが、その魅力は「たのしみを仕込むこと」だなぁと思います。完成まではすこし手間がかかるけれど、すぐにできないからこそ、日ごとにたのしみが膨らんでいく。同時に自分をいたわっているような感覚もあって、つくる過程に、どこかセラピーのような時間が詰まっているなぁと感じています。
梅仕事の日は、まず梅選びからはじまります。
梅に顔を近づけると、上品な香りが鼻を心地よく通り抜けます。しばらく食卓に置いて愛でたあとは、ひとつひとつの梅を洗いヘタを取ります。まぁるくぷっくり実った姿に生命力を感じながら手仕事をしていると、梅への愛おしさが高まっていくようです。
それから漬け込んだり干したりするのですが、毎日少しずつ、色が濃くなったり赤くなっていく様子を見守るのがたのしいのです。だんだんと甘みや香りがうつっていくことを想像しながら期待が高まります。
こうして出来上がったものを長く味わえるよろこびは、ひとしおです。そのまま味わったり、料理に使ったり。一年中側にいてくれる安心感こそが、健やかな暮らしにつながっているのだと実感しています。
今年はひと足早い5月に、梅の酵素シロップを仕込みました。
庭の小梅がたくさん実ったので、友人に教わりながら、はじめてチャレンジしてみました。
白砂糖と梅を瓶に詰めて、うっとり。
純白の砂糖に埋もれた梅はかわいらしくて、上品な香りがお部屋に漂って至福の時間でした。それから毎日手でかき混ぜて、発酵したら完成です。食パンに塗ろうかな、ソーダで割って梅ジュースにしようかな、など朝食のおともにいただくことを想像しながらニヤけています。
6月になったら、梅酒と梅干しを仕込もう。梅ジャムもいいなぁ。梅ジャムにはどんな料理が合うだろう、なんてあれこれ考えながら、手を動かすひとときはもうしばらく続きそうです。
今年も思う存分に梅仕事を楽しながら、梅雨を迎えたいと思います。
※ 参考文献
『現代百科大事典 UNICADIA』 講談社(1984年)

高根恭子
うつわ屋店主
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。
