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涼菓

旬のもの 2026.08.20

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二十四節気は立秋を迎え、暦の上では秋となりました。
まだまだ暑い日が続きますが、お盆を過ぎたあたりから少しずつ季節の変化を感じるようになりましたね。吹く風に冷たさを感じたり、夕方にはひぐらしの声が聞こえたり、雲の輪郭も少しずつ曖昧になっていく。暑かった夏もようやく終わりを迎えるとなると、うれしさと同時にほんの少し寂しさを感じます。

今年の夏を振り返ると、家で過ごす時間が多かったように思います。
暑過ぎて外に出るのが億劫だったので、食材を買い貯めておいたのですが、とくに冷やして食べる「涼菓」を少しずつ味わうことが日々のたのしみでした。水羊羹にフルーツゼリー、あんみつ...。この季節ならではのラインナップに心が踊るのです。

「涼菓」の魅力は、見た目からも涼しさを感じられるところだと思います。涼しげな色合いや質感を目の前にするだけで、体感温度が下がるようです。さっぱりした口当たりのものが多いのがうれしいところ。口に運ぶとひんやりとした心地よさが身体中に沁み渡って、夏バテ気味の疲れた心を癒してくれます。

とくに今年の夏のお気に入りは水まんじゅうでした。
王道のあんこや、マンゴーなどのフルーツ餡が入った水まんじゅう。中身が透けて見えるのが涼しげで、冷蔵庫をあけるたびにうれしくてにんまりしてしまいます。どんなうつわを合わせようかと考えるのもたのしくて、餡の色合いに合わせて白やガラスのうつわをよく使いました。余裕があるときは、食べる30分ほど前にうつわも冷蔵庫に入れて冷やしておきます。冷えたうつわに盛られた涼菓も心地よさそうで、それだけでもう、ごちそうなのです。

幼いころは、母がよく寒天ゼリーをつくってくれました。
フルーツ缶の果物がたくさん入ったゼリー。出来上がって、大きな型からお皿へ取り出す瞬間はいつも兄弟で「おお」と歓声をあげて大盛り上がり。切り分けてもらったものをすぐに頬張っていました。パインやみかん、桃などいろいろな果物たちを一気に味わえるのもリッチな気分で、毎年この季節のたのしみでした。

涼菓の歴史をたどってみると、平安時代には冷蔵庫が無かったので「氷室(ひむろ)」で貯蔵した氷を食べていたそうです。氷室とは、冬の間にできた氷を穴の中に埋め、茅や草で覆い、夏まで貯蔵していた室のことです。当時、氷は貴族のみが食べられる貴重品でした。

削った氷に甘葛(あまづら)という樹液を煮詰めたシロップをかけて食べていたそうで、現代のかき氷のようなものだったのかもしれません。
昔の人たちも同じように涼を求めて工夫していたのだと思いますが、冷蔵庫をあければすぐに涼菓をたのしめる現代の暮らしはなんともありがたいことだなぁと思います。

つるっと口の中に入ってきて、心も身体も隅々まで潤してくれる。
夏が終わってしまう前に、まだまだ「涼菓」をたのしみ尽くしたいなぁと思います。

※参考文献

下中 弘 『世界大百科事典』平凡社( 1997年)

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高根恭子

うつわ屋店主
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。

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