今日のお話は「本しめじ」です。
「香り松茸、味しめじ」という言葉があります。
この「味しめじ」とは、本しめじのことです。
「しめじ」と聞けば、ぶなしめじを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ぶなしめじは一年を通して手に入りやすく、炒め物や汁物、パスタなど日々の料理で親しまれています。
名前は似ていますが、本しめじとぶなしめじは生態が異なります。
ぶなしめじは、落ち葉や倒木などを分解して栄養を得る腐生菌(ふせいきん)です。一方、本しめじは、生きた樹木の根と共生して育つ菌根菌(きんこんきん)です。
本しめじは、樹木が光合成でつくった糖類などを受け取り、水や養分を樹木に届けます。
天然の本しめじは、かつて里山でも見られましたが、今では育つ環境が少なくなっています。一方、栽培された大黒本しめじは、身近な売り場にも並ぶことがあります。
私が大黒本しめじを意識して見るようになったのは、市場で働き始めてからでした。
ふっくらとした白い軸に、丸みのある茶色の傘。七福神の大黒様を思わせる姿にちなみ、大黒本しめじと名付けられたそうです。
市場では、大きさによって3本入り、4本入り、5本入りのパックを扱い、それぞれの姿を見ながら料理を想像していました。
栽培技術が進んだことにより、本しめじは私たちの食卓へとぐっと近づいたように思います。
初めて大黒本しめじを料理した時は、「味しめじ」と呼ばれるその味を確かめたくて、水にほんの少し塩を入れて軽く煮ました。
歯ごたえがあり、噛むほどに旨みが口の中に広がりました。残った煮汁からも、本しめじの味を感じました。
秋は、さまざまなきのこに目が向く頃です。いつものきのこの隣に、見慣れない姿を見つけるのも、この季節ならではの楽しみです。
買い物の途中、きのこが並ぶ売り場を少しじっくり見てみると、ころんとした大黒本しめじと出会えるかもしれません。
大黒本しめじの塩ご飯
材料(作りやすい量)
•大黒本しめじ 3〜4本
•米 1合
•塩 ふたつまみ
作り方
①米を研ぎ、1合分の水加減にします。
②大黒本しめじは石づきを除いて、縦半分に切ります。
③塩ふたつまみを加え、大黒本しめじの切り口を下にしてのせ、炊きます。
☆ポイント
今回は、大黒本しめじの味を感じられるよう、味付けは塩だけにしました。
味を知ったあとは、お好きな料理で楽しんでください。

川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
