たくさんのご応募ありがとうございました。
2024年6月1日からスタートした、「俳句の日めくりカレンダー」の俳句の大募集。
今回の<冬編>の応募総数は、計2015句でした。皆さま、たくさんのご応募ありがとうございました。
結果発表の前に、審査いただいた神野先生の総評をご紹介します。
総評
生活を踏みしめて、あるいは身体性を握り締めて、厳しい冬と対峙する力強い作が多く、励まされました。
寒さの底にいるからこそ、ささやかな光もまぶしく尊く感じるのでしょうね。
逃げずに季節と真向かう力を、みなさんの投句に教えていただきました。

「優秀句」発表
それでは優秀句の<特選><入選><佳作>を、それぞれ発表いたします。




立冬
尾をひからせて立冬のドッグラン 伊藤映雪(埼玉県)
立冬や立看板の踏張りぬ 遠藤 玲奈(東京都)
スカジャンシャカシャカ立冬の肉まん 亀田かつおぶし(栃木県)
立冬の橋ほの青く灯りけり 陽光樹(その他)
キッシュ熱々立冬のル・クルーゼ 岸来夢(東京都)
立冬の白粥の膜破る匙 みなまる(山梨県)
卓袱台にピザ生地寝かす今朝の冬 近江菫花(滋賀県)
立冬の陶土練る手の乾きゆく 榧野 実(兵庫県)
水底にゐて立冬を見上げをり 髙田 祥聖(神奈川県)
小雪
小雪の地下へ閉架の医学書へ 四條たんし(静岡県)
パスタにはチーズたっぷり小雪かな 伊都(佐賀県)
これみんな小雪のバス待っている 里山子(長野県)
小雪やアップルパイの三角形 いずみ令香(埼玉県)
小雪やブルーチーズを厚く切る 森 薫(福岡県)
小雪や煉瓦でふさぐ登り窯 竹田むべ(兵庫県)
小雪のコリアタウンで買うハンコ 渡戸 道子(東京都)
小雪や座れば欠伸でるソファー 空木花風(千葉県)
小雪や二樽漬けし鰊漬け 庭野環石(北海道)
大雪
大雪の元町に買ふペアリング 沼野大統領(神奈川県)
大雪のチーズケーキの崩れ方 三縞 勇輝(東京都)
大雪の改行キーの摩耗かな 青井えのこ(東京都)
朝日大雪メタセコイヤの実を拾ふ 西野 由美(神奈川県)
大雪や扇のやうな愛が欲し 石村まい(兵庫県)
大雪やホワイトボードの在庫表 田中 由紀子(東京都)
大雪や欠けた天使のマグネット 飯村祐知子(滋賀県)
大雪の夜をことことうずら豆 福原あさひ(北海道)
冬至
黒板へ冬至の光あげましょう いたまき芯(静岡県)
日本語講座終え冬至湯とするか 亜桜みかり(愛媛県)
豆腐ごとさびしさを切る冬至かな 吉成小骨(兵庫県)
愛だってレンチンできる冬至の日 みづちみわ(愛知県)
冬至かな鋏で切りし子のうどん 桜鯛みわ(東京都)
グラタンにローリエ香る冬至の夜 小田毬藻(埼玉県)
蝶番壊れ冬至の鳩時計 竹田むべ(兵庫県)
小刀にクレヨンけづる冬至かな 澄珈(東京都)
百花蜜掬う冬至のティースプン 丁鼻トゥエルブ(長野県)
南京町栄へ冬至の小籠包 木ぼこやしき(岡山県)
冬至まで煮詰めて妻のデミグラス 桜井教人(愛媛県)
小寒
小寒や手話で伝へる戦争記 伊藤映雪(埼玉県)
小寒や羊羹の切り口に富士 香亜沙(神奈川県)
小寒やミトンに森の編みこみを 陽光樹(その他)
小寒や我がために薫く伽羅一片 佐々木 慈子(京都府)
小寒の半紙ゆつくり墨乾く 星月彩也華(愛媛県)
小寒の烏つつきぬ大菜つ葉 村山 恭子(岐阜県)
小寒やミルクへ大匙のきな粉 藤田ゆきまち(三重県)
小寒やじゅわり床屋の蒸しタオル 丁鼻トゥエルブ(長野県)
小寒の雲はしづかに雲食らふ 野村齋藤(愛知県)
小寒や大き口開く収集車 檜野 美果子(宮城県)
大寒
大寒やチューブに尖る練辛子 長谷川水素(神奈川県)
大寒のクリアファイルの折り目かな コンフィ(東京都)
大寒のガス火小さく練るきんとん おかげでさんぽ(大阪府)
大寒はひいばあちゃんの部屋で寝る 植 朋子(埼玉県)
大寒や産湯をわかす火の盛ん 西野 由美(神奈川県)
大寒や地下の金庫の閉まる音 岸来夢(東京都)
大寒やよく乾きたる珪化木 音羽凜(東京都)
大寒の天突くフランベの炎 海亀九衛門(千葉県)
大寒の革靴の裏捲れをり うさの(愛媛県)

立冬
立冬や水音いよよ細くなる 安田蝸牛(千葉県)
立冬や岩に砕ける波の音 加藤じゃすみん(新潟県)
すべて見やぶる立冬のヌートリア コンフィ(東京都)
立冬の空を自在にレジ袋 横山雑煮(茨城県)
立冬や立ち食いそばの濃き汁よ 実本礼(長野県)
立冬の子宮に入れる陽を探す 蓮井理久(大阪府)
タレかつの衣重たし冬来る 酒井 春棋(新潟県)
立冬や洗濯かごに干し忘れ 菅原 正子(宮城県)
立冬や灯油缶詰む勝手口 大屋 裕(愛知県)
立冬や青年空を見上げたる 大野 美波(埼玉県)
立冬やホワイトチョコの香りして 朝日みう(京都府)
立冬の 風が引っ張る イヤホン線 花笑みの旅人(埼玉県)
立冬のとんびゆつくり輪を描く 伴田 至誠(岐阜県)
立冬や幼なじみのベレー帽 福原あさひ(北海道)
冬立つや今日は固めの目玉焼 三嶋乃千尋(静岡県)
公園のベンチのかたさ冬に入る 堀ノ内 和夫(奈良県)
立冬は白というより透明で 翡翠時雨(神奈川県)
立冬やフェンスの標語はためけり ほしのり(東京都)
小雪
小雪やホットココアの待つ家へ 舞矢愛(長野県)
小雪やクーピーの底くぼみたる 藤 雪陽(長野県)
小雪やグラニュー糖へ銀の匙 村瀬ふみや(北海道)
ふわふわとレプトケファルスの小雪 正念亭若知古(山口県)
小雪の日暮れを惜しむ群れ鳥よ 山田翔子(千葉県)
小雪の川辺子犬の瞬ける 村蛙(そんえ)(東京都)
小雪のバランスボール静電気 瀬川琴女(三重県)
小雪や温泉に朝猿の居て 海神 瑠珂(愛知県)
小雪のポタージュぼくを甘やかす 弥栄弐庫(千葉県)
小雪に白いまゆ毛の犬が来た 太田怒忘(滋賀県)
小雪に吹く尺八の音冴える 石川明世(岩手県)
小雪やいつしか果てしトロイメライ 辻 花和音(埼玉県)
小雪や生姜佃煮届きをり 吉 哉郎(鹿児島県)
小雪のバターチャーンのよく回る 七瀬ゆきこ(三重県)
小雪や口をあけあふ下校みち ぴょん吉 龍(京都府)
小雪の階段掃除したりけり 天海楓(埼玉県)
大雪
大雪の電信柱の一途かな 今林快波(福岡県)
島国の大雪吹かれキリンの子 海のあを(愛知県)
大雪に歳時記繰りて夜もゆたか 新濃 健(東京都)
大雪のマグに砂糖は溶け残る 石井一草(千葉県)
大雪や庭師の友の朝早き 風早杏(長崎県)
大雪のペガサス翼をたたみけり 中矢 尚(愛媛県)
離島の遠し大雪の海重し 北藤詩旦(北海道)
大雪やツーブロックのたこ焼き屋 藤田ゆきまち(三重県)
大雪の軽トラックを引き上げる 苫野とまや(長野県)
大雪や録り溜めて観る時代劇 近江菫花(滋賀県)
大雪や炊き出し用の釜を出す 万里の森(長野県)
視野欠損目薬沁みて大雪や 染井亀野(奈良県)
冬至
銅像の細長き影踏む冬至 原田 貴章(岐阜県)
クレヨンの色濃きマルの冬至かな 柿本苧麻(千葉県)
刺し子雑巾ばあちやんと縫う冬至の夜 いずみ令香(埼玉県)
雑巾の乾ぶ冬至のバケツかな 柚木みゆき(和歌山県)
えいえんに遊んでいたい冬至の日 太田 慈(滋賀県)
冬至の夜ねだる七色ロリポップ 滝川 陽子(静岡県)
ルービックキューブにも飽く冬至かな 藤永深里(新潟県)
ナスカ絵を渡る冬至の光かな 空木花風(千葉県)
パンプキンパイへ冬至のひかり入る 白石美月(福岡県)
もぐもぐと冬至に鯖と漫才と 武藤ゆうじ(福岡県)
三温糖少々加え冬至粥 羽馬愚朗(愛知県)
コンビニでレモンサワーを買う冬至 服部 圭輔(千葉県)
棟梁の長寿眉冬至の塗装 明 惟久里(東京都)
一年を疲れ冬至の太陽は 平良嘉列乙(千葉県)
冬至なりハスキーの仔の体当たり 乃咲カヌレ(その他)
ピアニカを持ち帰りつつ来る冬至 鈴木案菜(福島県)
小寒
細々と影小寒の落暉かな 破れ蓮(東京都)
小寒に羽を立たせる籠の鳥 松本 俊彦(京都府)
小寒のバナナワニ園彷徨へり 東京堕天使(千葉県)
小寒の渡り廊下を研修医 岸来夢(東京都)
小寒の地下道を抜け波近し 葦屋蛙城(新潟県)
小寒のかあるくパンを食べにけり 竹澤 聡(神奈川県)
小寒や銀の外灯闇に染む 丸山美樹(岐阜県)
小寒や娘の愚痴も聞き飽きた 河国老(兵庫県)
小寒の藪に明るきけもの道 雪井苑生(埼玉県)
小寒の白から摘まむ金平糖 木村 隆夫(埼玉県)
小寒や鳥のこぼせる実の赤き 菅野奈都子(福岡県)
小寒の舌にころがす胡麻豆腐 海亀九衛門(千葉県)
大寒
椿ごと凍る大寒手水鉢 根来 譲二(大阪府)
大寒や碧き湖面にコハクチョウ 鹿達熊夜(滋賀県)
大寒やどこへも行かずブラームス 菫久(東京都)
大寒や染めぬと決めしショートヘア 希凛咲女(愛知県)
大寒の月夜とろけるチーズの香 もりやま博士(東京都)
大寒の麺は花椒ごと啜れ 弥栄弐庫(千葉県)
大寒の吹雪く隙間に月明かり 足立 浩(島根県)
大寒の星座碧々浮き上がる みなまる(山梨県)
大寒の小瓶の底の除光液 大屋 邦子(愛知県)
大寒にひらひら泳ぐ熱帯魚 中原 英里(大阪府)
神代より大寒の風浪の音 猪狩鳳保(神奈川県)
良き知らせあり大寒の青空よ 渡辺 葉月(福岡県)
大寒を象の重たき足の来る 錆田水遊(愛媛県)
大寒やシーラカンスに鋭き鱗 伊予素数(神奈川県)
大寒やスープの野菜くつたくた 香田ちり(埼玉県)
大寒のテトラポッドに波吠えて 齋藤満月(東京都)
※「俳句の日めくりカレンダー(2026年版 )」に掲載する句の選出は、2025年4月頃を予定しています。 掲載させていただく方にはメールにてご連絡さしあげますので、それまでは投稿作を他の場所で発表されないようにご注意ください。 掲載された方には、実際に掲載された「俳句の日めくりカレンダー」を1冊進呈させていただきます。
春の二十四節気の俳句も募集中
冬の優秀句の発表は以上です。いかがだったでしょうか?
現在実施中の「春の句」募集も2月28日が〆切となっておりますので、ぜひご応募ください。
最後になりますが、今回もたくさんのご応募ありがとうございました。