三月三日はひなまつり。
桃の節句とも呼ばれ、女の子の健やかな成長を祈る日です。
ひなまつりに欠かせないものといえば、雛飾り。
この記事では、ひなまつりと雛飾りについて、少し紐解いていきたいと思います。
ひなまつりのはじまり
ひなまつりは、中国の上巳の節句、日本の祓えの風習、平安時代の雛遊びなど、いくつかのならわしが合わさって生まれたとされています。
古代中国では、旧暦3月の初めての巳の日(上巳の日)は厄日とされ、水辺で体を清め、桃花酒を飲んでお祓いをする風習がありました。

これが日本に伝わり、紙で作られた人形(ひとがた)に穢れを移して川に流すようになりました。
平安時代には、公家の少女の間で雛遊び、現代でいうおままごとが行われていました。
これらのならわしが混ざり合わさって、ひなまつりが生まれました。
雛飾りの今昔
雛飾りというと、豪華絢爛な衣をまとい、和やかな顔つきをして座っているお内裏様とお雛様が想像されますが、昔からそうだったわけではありません。
平安時代の雛遊びに用いられた雛は、紙人形のようなものだったそうです。
江戸時代前期になると、立雛といって、立った状態の雛飾りが登場します。

東京国立博物館蔵
出典:国立博物館所蔵品統合検索システム(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/I-1635)
その後、「寛永雛(かんえいびな)」、「元禄雛(げんろくびな)」、「享保雛(きょうほうびな)」などの座雛が生まれ、衣裳も贅を尽くしたものとなっていきました。
今では、ちりめんや木製の雛飾りなど様々なものがあるので、好みの雛飾りを選ぶ楽しみがありますね。
雛飾りを飾るのはいつからいつまで?
雛飾りは、立春を過ぎたら飾っても良いとされています。
ただ、繊細な衣裳に包まれた雛飾りは湿気が苦手です。
そのため、晴れの日が多く朗らかな天気に恵まれやすい、二十四節気・雨水の頃が雛飾りを飾るのに適しているとされています。
桃の節句を目一杯楽しみたい方は、湿気には十分気をつけた上で、早めに飾っても良いでしょう。

ひなまつりを過ぎたら、雛飾りはすぐに片付けることとされています。
本来、ひなまつりは穢れを人形に託し、川に流してお祓いをする行事でした。時代が下るにつれ雛人形が豪華になったので、水に流す代わりに、早く片付けることで穢れを祓ったとみなすようになりました。
乾燥させた赤唐辛子などと一緒に仕舞うと虫除けになります。
おひなさまは右?左?
伝統的には、左(向かって右)にお内裏さま、右(向かって左)にお雛さまを飾るとされています。
欽明天皇の時代(553年)に、中国の陰陽五行説が日本にもたらされ、それにもとづいて左右の並びが定められました。

ヨーロッパの文化が入り、大正天皇の洋装での即位式では、皇后が左に立たれたことに始まり、歴代の即位の礼でもそのように並ぶようになりました。これに合わせ、主に関東では左(向かって右)にお雛さま、右(向かって左)にお内裏さまを並べることもあります。
今では、どちらの並べ方も正しいとされています。
暦生活の雛飾り
暦生活ではひとつひとつ手づくりされた、ガラス細工の雛飾りを販売中です。
職人さんが丁寧に手づくりした、ガラス細工の小さなお内裏さまとお雛さまが、桃の節句をそっと彩ってくれます。
手のひらにおさまるサイズ感で、玄関や食卓のちょっとしたスペースにも。
雛飾りは繊細な分、飾るのも仕舞って保管するのも大変ですが、こちらの雛飾りはガラス細工でできているので、楽ちんです。

昔は「雛の国見せ」といって、雛人形を連れて野山や川辺に出かけ、春の景色を雛人形に見せてあげる風習がありました。
手のひらサイズの雛飾りを連れて、春のピクニックに出かけてみるのも楽しそうです。