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ちらし寿司

暦とならわし 2020.03.02

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桃の節句には、おひなさまを飾って、ひなあられや菱餅などを供えてお祝いする。そんなひな祭りの食卓には、ちらし寿司! というおうちも多いのではないでしょうか。

こんにちは、こんばんは。くりたまきです。

ひな祭りといえばちらし寿司。とわたしは単純に思っていたのですが、実はちらし寿司には、ひな祭りに関する直接的ないわれはないんです。もともとは「なれずし」という魚をお米に漬けて発酵させたものを食べていたからその影響では、とも言われています。

とはいえ「なれずし」と「ちらし寿司」では、同じ寿司の名がついていても、見た目も味も全然ちがうもの。華やかなごちそうを、ということでちらし寿司をつくるようになっていったのでしょうか。

お正月に食べるおせちのように、具材に縁起のいいものを入れていることも、お祝いの席で出される理由かもしれません。

先の見通しがきくように、れんこんを。
背中が曲がるくらいまで長生きするように、海老を。
マメに働けるように、豆を。

女の子の成長を祈る気持ちが、どんどんひな祭りの食卓を豪華にしていき、現在のちらし寿司に行き着いたのだと思います。

わたしも、子どものころは母にちらし寿司をつくってもらっていた記憶があります。地域やおうちによって、いろんな流儀があると思いますが、うちのちらし寿司がやっぱりわたしにとっては特別です。

母は幼いわたしにちらし寿司をつくる手伝いをさせてくれました。木桶に入れた炊きたてのごはんにお酢をかけて混ぜる母と、横でうちわを仰ぐわたし。酢めしにも濃いめの醤油味で煮たレンコンを混ぜ込んで、上にも具材を散らしていたと記憶しています。大きなお皿に酢めしを盛って、どんどんカラフルに彩っていきます。

マグロと海老の赤、
錦糸卵のまろやかな黄色、
さやいんげんと菜の花の緑、
甘い桜でんぶのピンク。

最後に、きらきらと宝石のように光るいくらを真ん中にたっぷり盛り付けたら、我が家のちらし寿司の完成。「こんなおいしいものを食べられるなんて、女の子に生まれてよかった!」なんてはしゃいで、父と母と妹と、食卓を囲んでいました。今は亡きおじいちゃんに贈ってもらったひな人形を眺めながら。

しあわせな記憶にあるちらし寿司、ひな祭りに限らず、今日はごちそうと決めた日には、友だちと一緒にわいわいつくってみようかな。男も女も、年齢だって関係なく、この逸品を囲んで楽しみたいです。

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栗田真希

ライター
横浜出身。現在は東京、丸ノ内線の終着駅である方南町でのほほんと暮らす。桜をはじめとした花々や山菜が芽吹く春が好き。カメラを持ってお出かけするのが趣味。OL、コピーライターを経て現在はおもにライターとして活動中。2015年準朝日広告賞受賞、フォトマスター検定準一級の資格を持つ。

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