こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。
冬と春の間を行ったり来たりしているかのような、複雑な季節の変わり目である、この頃。
窓の外を見ると暖かそうな陽ざしが差しているのに、外に出てみると風が冷たい……なんて日も珍しくなく、着るものを選ぶのにもなかなか頭を使います。

今回ご紹介するのは、そんなこの季節の気候を見事に表現した「冴返る(さえかえる)」という言葉。
いったん春めいたはずなのに、また冴え冴えとした寒さが戻ってくる様子を言います。一度は暖かさを感じただけに、よりその寒さが際立って感じられるものかもしれません。
「冴返る」は初春(二月)の頃の季語にもなっていて、「寒戻る」「余寒」などの言葉と言い換えることもできます。
単体では冬の季語である「冴ゆ」という言葉は、空気がピンと張り詰めるような、厳しい寒さのことを表現しています。
そして「返る」とは、すなわち「戻る」という意味。
「また寒さが戻ってきちゃったね」といった時が、「冴返る」にピッタリのタイミングなのです。

でも、日本語って不思議なもので、「冴ゆ」という言葉の中には単純な「寒さ」や「冷たさ」ばかりでなく、光・色・音のさまがより鮮明に澄んでいる様子が伝わってきて、季節の中の美しさが感じられますよね。
「冴返る」の季節は言わば、本格的な春を待ちわびた私たちの五感の感性が、より研ぎ澄まされる頃なのだと言ってもいいかもしれません。
考えてみると、「野性的」な生活からはかけ離れつつある暮らしをしている私たち人間が、自分の持っている「五感」や「感性」を磨けるのはどんな時なのでしょうか。
それこそが、なにげない日々の中で出会う、ありのままの自然の姿を丁寧に感じ取ることなのかもしれません。
「冴返る」という言葉も、私たちにふと、自然と寄り添いながら生きてゆくということを思い出させてくれる気がします。

季節の変わり目は、体調を整えるのにも一苦労ですが、できるだけ自然界に逆らうことなく身をゆだねることが、季節に体を順応させるコツかもしれません。
今年も「冴返る」日が訪れたときには、冬と春の境目を感じる心を見つめなおしつつ、その言葉が伝えるような「寒さの中にある鮮やかな魅力」を探してみてくださいね。

紺野うみ
巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
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