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清和せいわ

季語 2025.05.16

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こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

春から初夏にかけての穏やかな晴れの日には、清らかに澄んだ空とのどかな雰囲気が心地よく、時間を忘れていつまでも外に出ていたくなるものです。
今回ご紹介するのは、そんな季節の様子を表現している「清和(せいわ)」という言葉。
「空が晴れていてのどかなこと。また、そのような季節」という意味があります。

一見すると人名のようですが、実は「清和月」と言って、陰暦では4月(特に4月1日)の異称としても使われていました。俳句の世界では、旧暦の4月は「初夏」の季語になります。

また、手紙の冒頭に書く時候の挨拶にも、「清和の候」と使われることがあります。
清らかで和やかな月なんて、字面を見ただけでも、この季節の清々しい心地よさがほんのりと伝わってきますね。

陰暦が使われていた時代には、気候が夏に手を伸ばしつつある旧暦4月頃が、もっとも「清和」と呼ぶにふさわしかったということでしょう。
近年では、夏の厳しい暑さがかなり前倒しになってきていて、心地よい季節が短くなりつつある気もしますが……。それでも、本格的な夏と比較すれば、まだまだ外で過ごす時間を楽しめるのではないでしょうか。

そしてさらに、皆様にもご紹介したいのは、この言葉のもう一つの魅力。
それは、「世の中がよく治まっており穏やかなこと」という、また別の意味があること。
「清和の世の中が続きますように」といった使い方をするのですが、穏やかな心で平和に過ごせる世の中を求め続ける人々の想いが、いつしかこの漢字二文字の言葉の中にそっと秘められたのかもしれない……としみじみ想像してしまいます。
季節を表現するだけに留まらず、理想的な世の中の状態まで表してしまうなんて、本当に奥が深いですよね。

私たちの国において言葉は「言霊(ことだま)」とも言うように、そのひとつひとつにも、目には見えない力である「魂」が宿るものとされてきました。
瑞々しくきらめく心地よい季節の様子と、誰もが希望を持って生きられる世の姿を重ね合わせながら、私もどこかで「清和」という言葉を使ってみたいなと思います。

将来に向けた不安や社会的な課題が取り沙汰されることの多い現代ですが、心の中には美しい言葉とともに希望を忘れることなく、明るい気持ちで生きてゆきたいものです。
皆様もぜひ、この「清和」の季節を楽しみながら、心地よく穏やかな世界を身近なところから広げていってくださいね。

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紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

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