今日の読み物

お買い物

読み物

特集

カート内の商品数:
0
お支払金額合計:
0円(税込)

秋麗あきうらら・しゅうれい

季語 2025.09.30

この記事を
シェアする
  • X
  • facebook
  • B!
  • LINE

こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

夏の気配は少しずつ薄れ、短いながらもじっくりと大切に味わいたい秋がやってきました。
皆様もそれぞれに、外の空気や自然の姿から、たしかな秋の存在を感じられましたでしょうか?

今回ご紹介する言葉「秋麗」は、文字通り秋を示す季語。パッと見て「しゅうれい」とも読みますが、もうひとつ美しい読み方があるのをご存知でしょうか。
春の季語に、春の心地よい気候を表現する「麗らか(うららか)」という言葉がありますが、秋の中でそのような心地よい日に出合えたら、それが「秋麗」と書いて「あきうらら」なのです。

たったひとことで、さまざまなこと――様子・気持ち・想いなどを表現し尽くしてしまうくらいの力を持っているのが日本語という言葉。今回の「秋麗」もその中に詰まったイメージは無限に広がっていきそうです。
秋晴れの清々しさ、注ぐ陽ざしの暖かさ、吹く風の爽やかさ、見つけた花の愛らしさ、聞こえてくる虫の声の柔らかさ……。いつまでも外で、うっとりと自然を感じながら過ごしていたくなるような、そんな幸福な秋の日の様子が一瞬で想像できるのではないでしょうか。

時期としては、10月に入って暑さの名残を感じなくなる頃から、本格的に寒くなっていくまでの季節に使える言葉でしょうか。
年々、長くなっていくように感じられる夏の厳しさに押されて、秋は一瞬で過ぎ去っていくようにも思えますが、それでもじっくりと体感したいのが「秋麗」です。

動物や植物など自然界の変化は、静かで寂しい冬を前に、たとえ一瞬でも活発に鮮やかに、華やかな晴れ舞台を見せてくれているかのよう。
動物たちは一生懸命に冬支度をはじめ、木々の葉も散り散りになるのを前に美しく色づいていきます。

一瞬たりともその変化を見逃すのはもったいないくらいの、心にとって贅沢な時間が積み重ねられていくのが「秋麗」だと思うのです。
自然の中に身を置きながらじっくりと五感や心を浸してみることは、まるで温泉に浸かるかのように、私たちを心身ともに癒してくれる大切な手段のひとつなのではないでしょうか。

日々を「やるべきこと」に追いたてられながら過ごしているといつの間にか月日が経っていることも少なくありませんが、本当は忙しく頑張っている人ほど、自分自身をいたわるためにも立ち止まって味わうべき時間なのかもしれません。

「あきうらら」を想像したとき、どんな光景が脳裏に浮かぶでしょうか?
できればみなさんも、この秋には、その情景を現実に味わうひとときを持ってみてはいかがでしょうか。
心が、体が、本当に欲しているのは、そんな「秋麗」な時間だと思います。
毎日、一生懸命に生きることを頑張っている自分自身にも「ご自愛」を。
厳しい冬がやってくる前に、心も体も喜ぶような、特別なご褒美をあげてみてくださいね。

この記事を
シェアする
  • X
  • facebook
  • B!
  • LINE

紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

記事一覧

紺野 うみ|オフィシャルサイト