こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。
冬の終わり頃、「春はもうすぐ」と繰り返していたと思ったら、いつの間にか梅・桃・桜の時期を経て、暑いくらいの陽気になる日も増えてきました。
のどかな春も、あっという間に過ぎ去ろうとしています。
近年は、春や秋といった、人間にとって心地よいと感じる季節が短くなってきているような気もして、余計に名残惜しく思いませんか?
今回の「春惜しむ」という言葉は、そんな過ぎ去ろうとしている春を惜しみ、いとおしむ気持ちを表現する季語のひとつ。
華やかで美しい季節が去っていくことに寂しさを感じる心情がこもった言葉です。
「惜しむ」とは、そもそも大切なものやよきものを失いたくない、または無駄にしたくないという気持ちであり、別れがたい、残念だと思う気持ちのこと。
これって、実はすごく素敵で大切にしたい心の動きなのではないでしょうか。
今この瞬間、ここにあるものを、体と心で丁寧に感じて味わい、大切に想うこと。
愛しいものを抱きしめるような、そんな感覚です。
抱きしめるという行為は、どんなものであっても、その瞬間に自分の手の届く場所に存在していないと、できないことですよね。
触れられるもの、感じられることに対して体と心が敏感であることは、人の暮らしを本当の意味で豊かにしてくれる気がします。
そういえば、私たちは普段、まだ見ぬ未来のことに心や思考を費やしていることの方が多いように思います。
それも、前向きな気持ちじゃなくて、心配なことや不安に思うことの方には、どうしても思考が支配されやすいもの。
先のことを考えることはもちろん大切ですが、その結果「今」に対する感性をおろそかにしていては、なんだかもったいないですよね。
あなたの周りに、今、どんな素晴らしい「春」があるでしょうか。
ほどなくして、いつの間にか、あなたのそばから過ぎ去ってしまいます。
でも、きっとまだ触れられるところにあるのではないでしょうか。
今、この瞬間もそばにある「春」。
その美しさ、やわらかさ、心地よさを愛しみながら。

紺野うみ
巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
