こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。
本格的な秋の訪れとともに、もう冬に片方の足を踏み入れているような、身に沁みる寒さも感じるようになってまいりました。
朝晩の冷え込んだ空気や、木々から葉っぱが次々と落ちてゆくような様子を見ていると、「ああ、間もなく冬がやってくるのだな」と気づいて、少しわびしいような心地にもなるものです。
春や秋のような、私たちにとって心地よいと感じられる季節は、いつも一瞬で通り過ぎてしまうように感じられてなりません。
今回ご紹介するのは、晩秋の季語としても使われることの多い「そぞろ寒(ざむ)」という言葉。
明確な理由はないけれど、なんとなく身に沁みて感じられるような晩秋の寒さ、という意味があります。
「そぞろ(漫ろ)」の意味は、「なんとなく、わけもなく」や「心が落ち着かない、そわそわする」など。「気もそぞろ」とか、「そぞろ歩き」などの単語は、耳にされたことがある方も多いのではないでしょうか。
これといった理由もないのに、なんとなくそうなってしまう……といった、なんとも曖昧で、心が感じた率直な感性から生まれた言葉だとも言えますね。
「そぞろ寒」の寒さの裏側には、単純に体に感じる寒さだけでなく、過ぎ行く季節を惜しむ気持ちや一抹の寂しさといった情緒が見え隠れしています。
日本語には、こんな風に曖昧な意味を持っていて、でもきっと多くの人が感じているであろう想いを、的確に表現している言葉がなんと多いことでしょう。
言葉のご縁が繋がれてきたということは、その言葉をバトンのようにつないできた人たちがいるという証拠。
きっと、これまでに誰かがぴったりの言葉を生み出してくれて、さまざまな人がそれを大切に使いながら受け継いできたのでしょう。
もし、人の心を、無限に繋がっていくパズルのようなものに例えるとしたら。
こういった言葉こそが、私たちの浮かんでは消えてゆく小さな想いを拾い上げ、心の隙間を埋めてくれるピースとなるに違いありません。
だからこそ、ひとつひとつの言葉との出会いを大切にして、心に残ったものは積極的に口にしたり書いたりして、使っていきたいものです。
お気に入りの言葉は、あなたの心の辞書の中にそっと書き留めておいてくださいね。

紺野うみ
巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
