おはようございます、こんにちは。エッセイストの藤田華子です。
2月に入り、ますます寒さが厳しくなりましたね。今日は、冷たい風に体が強張ってしまう方にぴったりなならわしをご紹介します。
さっそくですが、「二日灸」ってご存知でしたか?
旧暦の2月2日と、8月2日にお灸をすえると、いつもの何倍もの効果が期待でき、無病息災で暮らせるというものです。ちなみになぜ旧暦の2月2日なのかというと、旧正月にあたり、新年のお灸初めになるから。それに加え、年が明けてから「七草粥」や「小豆粥」をいただくのと同じように、寒さで受けた身体のダメージを労わるのに適した時期なのかもしれません。
そもそもお灸は、ツボといわれる体のポイントに熱を加えることで、身体の不調を緩和する東洋医学の治療法です。歴史は大変古く、なんと2,000年前の中国ではすでに医術として体系化されていたそう。諸説ありますが、日本へは遣隋使や遣唐使によってもたらされたとも言われています。
当時、中国北部の民族は、人間は熱の塊から生まれ、年を重ねるにつれて冷たく動かなくなるものと考えていました。そこで、体から熱が冷めていくことを抑え、少しでも長生きできるようにと考え出されたのが「お灸」です。
お灸に使われる「もぐさ」の原料は、土手などで見かける「よもぎ」。よもぎは古来から医療用に用いられた薬草ですが、中国やインドの乾燥地帯など、植物が育つには不毛の地とされている場所にも生えていました。その生命力の強さや、すでに万能な薬草として用いられていた経験からか、人々はよもぎを乾燥させてもぐさを作り、灸をすえることを考えつきました。
時代とともに医学は進歩しましたが、お灸は現代においても用いられる医術です。ツボを温めることによって血行が改善し、その結果、自然治癒力が上がり、肩のこりや目の疲れ、腰の痛みなど、さまざまな症状が緩和される効果があります。
ここ最近はおうちで簡単に取り入れられるアイテムも多く、私もドラッグストアでシール型のお灸を購入しました。こちらは、水を数滴垂らすことであたたまり、5分程度で終わるという手軽さ。実はこの原稿を書きながらも、左手の「合谷(ごうこく)」にお灸を据えています(笑)。
ちなみに「合谷」は、親指と人指し指の骨が交差した部分から、人差し指へ向かって押していくと、痛みを感じるくぼみにあります。全身に365個もあるといわれているツボの中で、もっとも脳に刺激が伝わりやすく、肩コリ、ストレスなどに効く万能のツボだそう。
ここにお灸を据えると、心なしか身体が軽くなった気がするんです。
忙しない毎日に、気持ちを緩める瞬間を。「二日灸」は、そんなメッセージを教えてくれるならわしでもあるのかもしれません。肩の力を抜いて、2月も健やかに過ごしましょうね。
藤田華子
ライター・編集者
那須出身、東京在住。一年を通して「◯◯日和」を満喫することに幸せを感じますが、とくに服が軽い夏は気分がいいです。ふだんは本と将棋、銭湯と生き物を愛する編集者。ベリーダンサーのときは別の名です。
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