こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。
皆様は、「三伏(さんぷく)」という言葉をご存知でしょうか。
あまり耳慣れない言葉かもしれませんが、これも暦を表現する言葉のひとつ。
もとは暦や縁起の起源となった、中国由来の陰陽五行説から来ています。
「三伏」は季語をまとめた「歳時記」の中のひとつでもあり、具体的には7月中旬から8月上旬頃の、夏の最も暑い時期を言います。
「三」の伏とあるように、実は初伏・中伏・末伏という3つの総称を言い、それぞれ夏至から数えて「初伏(しょふく)」は3度目の庚(かのえ)の日、「中伏(ちゅうふく)」はその10日後に訪れる4度目の庚の日、「末伏(まっぷく)」はそのまた10日後に訪れる、立秋後最初の庚の日を指しています。
「庚」とは、陰陽五行説の中でも十干(じっかん)と呼ばれる、10日ごとの日の数え方のひとつ。庚(かのえ)は、7番目に位置しています。
陰陽五行説によると、あらゆるものは「陰」と「陽」のいずれかに分けられ、世界を構築するのは「木」「火」「土」「金」「水」の5つの要素からであるとされています。
そこで「夏」は「火」にあたり、「秋」は「金」にあたることに加えて「庚」も「金」に分類されているため、火と金は火が金を溶かすよくない相性であることから、夏至から立秋にかけては特に庚の日が「三伏」として凶日とされているのです。
夏(火)の暑さに秋(金)の気配が伏せられてしまうことによって、厳しい暑さに注意をするべきだと言われているのですね。
この日は、新しいことをはじめたり、旅に出たり、縁談を行うことや、種まきなどをすることは避けた方が良いと伝えられています。
これは、季節の様子や自身の体の声を聞かずに、無理をして動き回ったり頑張ったりしてバテてしまうことがないよう、こういった日は大人しく自分の内側に向き合いましょう、という意味でもあるのではないでしょうか。
近年、35℃を超えるのが当たり前になりつつある真夏の酷暑は、本当にすさまじいものですよね。
外に出れば、ものの数分で何もしていないのに汗がにじみ出てきます。
つまり、自然の中で自分を労わりながら生きてゆくための、先人からの知恵と助言が込められているのではないかと、私は感じています。
手紙を書く場合は「三伏の候」という時候の挨拶がありますし、俳句でも夏の季語として、厳しい暑さを表現する言葉としても使われています。
周囲の人ともお互いに体を労わりあったり、自分自身の体にも無理をさせすぎずに過ごしたりと、気を付けたいものです。
最後に、古くからお隣の韓国では、この三伏にはあえて体を内側から温める参鶏湯(サムゲタン)を食べるという風習があるのだとか。
たしかに、あまりの暑さに冷房を効かせすぎたり、冷たいものばかりを口にしたりして、かえって体を冷やしてしまうことも少なくないこの頃。
口当たりも味もやさしく、内側から体をほんのり温めてくれるようなものを、意識して口にしてみると良いかもしれません。
季節の様子に合わせながら、自分の体を整えていく術を、私たちも上手に生かしていきたいものですね。
紺野うみ
巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
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