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鹿の角きり

暦とならわし 2025.10.12

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奈良公園にはたくさんの鹿(ニホンジカ)が生息しており、毎年秋になると、大きな角を目立たせて闊歩する姿をよく見かけます。

その角は、空に向かってゆるやかなカーブを描きながら伸び、艶やか。
見た目からその堅さが伝わってくるようで、存在感があります。

そんな立派な角を、ノコギリで切り落とす行事が「鹿の角きり」です。
鹿の角きりは、春日大社の境内にある鹿の保護施設「鹿苑」で行われており、約350年もの歴史を持つ伝統行事です。

鹿の角はオスだけに生え、毎年生え替わります。
春になると根元部分が取れ、皮膚に包まれた「袋角(ふくろづの)」がつくられます。
夏にかけては皮膚に流れる血管から栄養を得て急激に成長し、秋には外皮が剥げ落ちて、堅く枝分かれした立派な角が完成します。

角の完成と同時に、オス鹿は発情期に入り、角を使ってメスにアピールしたり、オス同士角をつき合わせて争ったりするようになります。
気性が荒く、人に危害を与えるケースも増えてきたので、事故を防ぐために江戸時代初期にはじまったのが「鹿の角きり」でした。

当時は町のあちこちで行われ、町民は屋根の上や店先などから見物していたそうです。明治時代の初めに一度中断しましたが、中頃には春日大社の参道や境内地で再び行われるようになり、1929年より現在の角きり場で開催されるようになりました。

行事の流れは、まず角きり場にオス鹿を放ち、はっぴ姿の「勢子(せこ)」と呼ばれる人たちが赤旗を使って追い込みます。
勢子は角をめがけて縄を投げ、体を傷つけないよう慎重に引き寄せ、オス鹿をゴザの上に寝かせます。そして神官役が、角をノコギリで切り落とします。
鹿は神様のお使い「神鹿」として大切にされていることから、切り落とされた角も神前に供えられます。

また、鹿の角きりが一般公開されるのはこの行事だけですが、実際には8月頃から発情期が終わる1月頃まで鹿愛護会によって公園内のオス鹿の角は切り続けられているのだそうです。その数はおよそ300頭にもなるのだとか。

最初は「角を切られて...かわいそうに」と思いましたが、鹿が傷つけ合うことなく安心して暮らせるよう支えている人々がいることを知ると、よりいっそう鹿への愛着が湧いてきますね。

鹿の角きりは例年10月に行われますが、2025年は11月8日(土)9日(日)に行うそうです。今年はぜひ、迫力ある生の現場を実際に見てみたいなぁと思います。

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高根恭子

うつわ屋店主
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。

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