今日の読み物

お買い物

読み物

特集

カート内の商品数:
0
お支払金額合計:
0円(税込)

七五三と千歳飴しちごさんとちとせあめ

暦とならわし 2025.11.15

この記事を
シェアする
  • X
  • facebook
  • B!
  • LINE

空気が澄んで、木々が赤や黄色に染まりはじめる11月。日本の神社では、晴れ着をまとった子どもたちの姿が見られる季節です。

七五三は、3歳・5歳・7歳の節目を迎えた子どもたちの健やかな成長に感謝し、これからの無事を祈る行事として知られます。

子どもたちの笑顔あふれる七五三。

子どもの成長を祝う秋の風習

七五三の起源は平安時代にさかのぼります。宮中や公家の間で、「髪置き(かみおき)」「袴着(はかまぎ)」「帯解き(おびとき)」などといった子どもの成長を祝う儀礼が行われており、それらが現在の七五三の原型とされます。

3歳で髪を伸ばし始める「髪置き」、5歳ではじめて袴を着ける「袴着」、7歳で着物の付け紐をやめて帯を締める「帯解き」。これらの人生の節目は、子どもが社会の一員として成長していくための通過儀礼でした。時代を経るとともに、公家や武家にて儀式の作法や日程が定まっていき、江戸時代には、11月15日の行事とされるようになりました。

錦絵に描かれた江戸時代の七五三の様子。(国立国会図書館デジタルコレクションより)

こうした風習が、関東の都市部を中心に一般にも広まり始めたのは、江戸時代のこと。11月15日には、神社に参拝する習慣が定着していきました。ただ、全国的に一般化したのはそれほど古いことではなく、特に関西では、七五三の風習が広まったのは昭和に入ってからといいます。それまでは、それぞれの地域ごとに、子どもの成長を祝う風習があったようです。

昔は子どもが健康に育つことは今よりも難しく、幼くして亡くなってしまうことも多かったため、節目節目に成長を祝う行事が行われました。また、旧暦のこの時期は稲の収穫を終え、実りに感謝する季節でもあり、秋の「恵み」と子どもの「成長」を重ね合わせてお祝いするのにも良いタイミングだったのかもしれません。

神社の境内には千歳飴を提げた子どもたちがいっぱい

長寿を願う甘い贈り物

七五三といえば欠かせないのが「千歳飴」です。紅白の長い飴が細長い袋に入れられ、「鶴亀」や「松竹梅」など、おめでたい絵柄が描かれています。

千歳飴の起こりには諸説あり、一説には、江戸時代前期、大坂(大阪)の平野甚左衛門が江戸に商いをしに出てきて、浅草寺の境内で「千歳飴(せんざいあめ)」と称して飴を売り出したのがはじまりとか。それが長寿の飴として人気になり、「ちとせあめ」の名で広まったといいます。

または、同じく浅草の七兵衛という飴売りが紅白の飴を「千年飴」と名づけて売り出したことに始まるという説も。いずれにせよ、当初は商才にたけた飴売りがしかけたものだったようです。

その後、七五三に欠かせない食べものとして広まり、現在のように神社からいただく飴に変化していったとされます。「千歳飴」という長寿にあやかった名前や、おめでたい紅白の色など、子どもが末永く元気に成長するようにという願いにピッタリの飴だったため、全国に普及していったのでしょう。

七五三には多くの人が参拝する、大阪の住吉大社。

七五三の風景と有名な神社

七五三詣りは全国の神社で行われますが、特に東京の明治神宮、京都の八坂神社、大阪の住吉大社などが有名です。これらの神社では11月の週末になると多くの家族連れが訪れ、境内は晴れ着姿の子どもたちで賑わいます。

七五三にあわせて記念撮影を行ったり、親族で食事を囲んだりと、家族の絆を確かめる日としての意味も大切にされています。澄んだ空気の中で神社の境内に立ち、千歳飴の袋を手に笑う子どもたちの姿は、多くの人の心に残る温かい思い出となっていることでしょう。

この記事を
シェアする
  • X
  • facebook
  • B!
  • LINE

清絢

食文化研究家
大阪府生まれ。新緑のまぶしい春から初夏、めったに降らない雪の日も好きです。季節が変わる匂いにワクワクします。著書は『日本を味わう366日の旬のもの図鑑』(淡交社)、『和食手帖』『ふるさとの食べもの』(ともに共著、思文閣出版)など。

記事一覧