こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。
皆様は、どちらかの神社で「御祈祷(ごきとう)・御祈願(ごきがん)」を受けられたことがありますでしょうか。
御祈祷とは、外からお賽銭を入れて行う通常の参拝とは異なり、より神様のお近くへ昇殿(しょうでん)し、神職の「祝詞(のりと)」を通じて具体的な願いや祈りを神様に届けるものです。
幼い頃であれば七五三詣、結婚式を神社で行えば神前結婚式、厄年には厄除け祈願など、普段はあまり意識していない方でも、実はすでに、何度か経験している場合が多いのではないかと思います。
中には毎年決まった時期に、ご家族やお仕事仲間とともに、家内安全や商売繫盛などの御祈祷を欠かさず受けるという方もいらっしゃるかもしれません。
人生の中でも特に大切な節目で、神社の神様へご挨拶やお願いをするこの「御祈祷」においては、必ず神職資格を持った神主が神様への「祝詞」をあげています。
祝詞は、神様へ「宣る(のる=重大な発言をすること)詞(ことば)」という意味が込められており、「言霊(ことだま)の働きによって神意を動かす」ことを目的とした古来伝わる祈りの方法のひとつ。
平たく言えば、「神様へのとても大切なお手紙」を口にするための文章というところでしょうか。
ですから、皆様が耳にしたことのある祝詞はすべて、神職が神様を相手として間違いなく伝わるように考えて綴られた、難しい古語や独特の言い回しが使われていたことと思います。
これは、神様に対して決して礼儀を欠くことの無いよう、一言一句を丁寧に、心を込めて考え作られ、唱えられている文章だからです。
神社で日々行われている祭典の中でも、皆様の祈りを届ける個々の御祈祷の中でも、この祝詞が神様への「言葉の架け橋」となっているのです。
日本は昔から「言霊の幸(さき)わう国」、つまり「言葉の霊的な力によって幸せがもたらされる国」とも言われ、言葉の持つ力を信じる「言霊信仰」が根付いてきました。
たとえば、祝福の言葉は幸福をもたらし、呪詛の言葉は災禍をもたらす、といったように。
こんな風に説明されると難しく思えるかもしれませんが、要は「いつも感謝や素敵な言葉を使っている人のところには良い人やことが引き寄せられ、いつも悪口や呪いの言葉を使っている人のところには良くない人やことが引き寄せられやすい」といったこと。
言葉を大切にする理由としては、いたって単純明快で、当たり前の真実でもあるのです。
言葉の力を大切にしてきた日本人だからこそ、神様に対して述べる言葉として受け継がれてきた「祝詞」は、私たちの魂の奥深くに眠る祈りを伝える言霊だと言えるかもしれません。
神職はご神前における作法を学ぶとともに、この祝詞についてもよく勉強をして、日々神様へと唱えているのです。
皆様も、もし実際に「祝詞」を耳にする機会がありましたら、ぜひその内容について耳を澄ませてみてくださいね。
たとえ難しい単語の連続だとしても、神様への祈りの言葉が、もっと身近に感じられるようになることでしょう。

紺野うみ
巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
