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星涼しほしすずし

暦とならわし 2026.08.12

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こんにちは。星空案内人の木原美智子です。
「お盆を過ぎれば涼しくなる」と、言われることもありましたが、最近はお盆を過ぎても油断できない暑さが続く日々。日本のジメジメとした暑さとの暮らしの中で涼を感じられるように様々な知恵や工夫が生まれてきました。

風鈴の音で風を感じ、透明なガラス鉢の中を泳ぐ金魚を眺め、氷で冷やされたそうめんをいただく。この文章を読むだけで、夏の暑さから逃れて「涼」を感じる風景が思い浮かぶと思います。夏になると寒色系と言われる青色や水色などが使われたモノが増えるのは、自然の中にある「水」「川」「植物」などから得られる清涼感が連想されるから、とも言われています。

俳句の季語に「星涼(ほしすず)し」という言葉があります。夏の季語で、澄んだ夏の夜空の星々を眺めて涼しさを感じる、という意味を持ちます。熱帯夜が続く日々ではありますが、夏の夜に虫の声を聴きながら、頬にゆるく当たる程度の夜風を感じて見上げる星空には、確かに「暑さ」という言葉は似合いません。星空も自然のひとつ。そこから「涼」をいただく感性はとても美しいです。

夏の夜空を代表する天体のひとつに天の川があります。天の川は白い淡い帯状の天体。まるで、氷を削って出来たふわふわのかき氷を宙に敷いているかのような柔らかさを感じる天体です。そのふんわりとした雰囲気に昔の人は「清涼感」を感じたのかもしれません。天の川周辺で輝く明るい星たちは、氷のつぶのようにキラキラ輝いています。そして、それらがちりばめられた夜空全体を見渡すと、濃紺色の暗い夜空が広がっています。白色も濃紺も、昔から日本で親しまれてきた夏に涼を感じさせる色。「星涼し」という言葉が生まれるのも頷けます。

個人的に星涼しを一番感じられる時間帯は、日の出前だと思っています。太陽が昇ってくる1、2時間ほど前の時間帯。漆黒だった夜空を、東の方からやんわりと水色が宙を侵食し始めます。水色の宙とともに季節外れの冬の星も一緒にチラチラ見えることもあって、夜の間に冷えた地上が生み出す風とともにその光景を見つめると、今が真夏のど真ん中だということを忘れるくらいです。

なんとなく見ている夏の宙。きっと、みなさんの心の中にも、自分だけの「星涼し」のような情景があると思います。最高気温の数字を見ても涼しくはなりませんから、一日の終わりの夜の時間だけでも星を眺めて涼を求めてみませんか。

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木原美智子

星空案内人
広島県出身。瀬戸内の宙を見て育ちました。好きな季節は、コスモスが咲き、凜とした空気が漂う秋。宙を見上げるのが好きなので、星だけじゃなく宙にあるもの、宙に関わる文化に興味があります。ペンギンと野球も好き。

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