こんにちは。星空案内人の木原です。
10月に入り、秋ならではの冷たい空気を感じられるようになりました。星空も夏のにぎやかさに別れを告げて、秋の落ち着いた星座たちへと主役が変わりつつあります。
秋を代表する星の並びに「秋の四辺形」があります。秋の四辺形はぺガスス座の一部で、四辺形から頭の方向に星が4つほど並んでいる様子が分かります。そのぺガスス座の頭の位置に、ちょこんと乗っかるようにこうま座があります。こうま座は日本で見える星座の中で一番小さく、88つある全ての星座の中でも2番目に小さい星座です。今回はこうま座のお話です。
こうま座はとても小さくて可愛い星座です。ただ、暗い星しかないため星が綺麗に見える場所に行かない限りその姿を見ることはできません。そういった場所でも「どの星と星を結んだらこうま座?」となってしまうくらい見つけにくい星座です。
とてもマイナーな星座ではありますが、2世紀頃に天文学者プトレマイオスがまとめた古代天文学の事典には既にこうま座が掲載されています。こうま座がいつ誕生したかは明らかではありませんが、2000年以上も存在し続けている歴史の長い星座だと言われています。
ぺガスス座やカシオペヤ座など秋の星座の多くは1つの神話の中に出てくる登場人物たちで、星座同士の繋がりが深いです。一方で、こうま座には絶対的な神話が伝わっておらず学者によって諸説ある状態です。2000年前に戻ってプトレマイオスに真相を確認することもできないので、今回は私が好きなこうま座の神話を紹介します。
ギリシア神話の英雄ペルセウスが怪物メドゥーサを退治した時にメドゥーサの血から生まれたのが天馬ペガススです。あまり知られていませんが、ぺガススにはケレリスという弟がいて、ケレリスもぺガススと同じく翼の生えた天馬でした。ケレリスはふたご座のモデルとなったカストル(ふたごの兄)の馬となり、名馬として評価されていました。
しかし、ケレリスの主であるカストルは戦で亡くなってしまいます。死後、最高神ゼウスの力でカストルは星座となるのですが、名馬ケレリスの消息については分かっていません。
あくまで個人的な想像ですが、ケレリスも同様に星座となり、生まれてから別々に過ごしてきた兄ぺガススのもとへ向かったのかもしれません。ぺガスス座の横からひょっこり顔を出すように輝くこうま座。人間には気付かれにくい、馬の兄弟愛がそこにある気がします。
写真提供:木原美智子

