こんにちは。星空案内人の木原です。
夏から秋に向かって少しずつ季節が変わろうとしている頃、宙でも同じように秋の星座へ移り変わろうとしています。今回は、ちょうど夏の星座と秋の星座の境目で輝いている、いて座にまつわるお話です。
いて座のモデルは、ギリシャ神話に登場する半身半馬の姿をしたケンタウルス一族の文武両道の秀才キロン。神の父をもつキロンは賢く、医術や哲学、武術など様々な学術に長けていました。その優秀さから多くの王族や神の一族が教えを受けに訪れるほど。弟子の中には、怪物退治の功績から英雄となったヘラクレスもいました。傍から見れば、素敵な師弟関係に見えるキロンとヘラクレスでしたが、ある日悲劇が起こります。

ヘラクレスがケンタウルス一族の戦士たちと協力して怪物を倒し、その祝いに宴会を開いていた時のこと。戦士たちが酔っ払って暴れ出し、ヘラクレスに襲いかかってきました。すぐにヘラクレスは彼らを懲らしめ、逃げ出す戦士たちを洞窟へ追い込みます。しかし、その追い込んだ先は不幸にも師匠であるキロンが住む場所だったのです。
それを知らないヘラクレスは洞窟に矢を放ち、中にいたキロンの膝を射抜いてしまいます。矢先に塗られた毒によってキロンは倒れ苦しみますが、神の血を継ぐキロンの体は不死身のため、死ぬことができません。ただ苦しみ続ける不死身の自分を嘆き、全能の神ゼウスに死を願います。これを聞き入れたゼウスは死を与えるとともに、キロンの才能を惜しんで星座にしました。その星座がいて座として今も宙で輝いています。

場所は変わり中国では、いて座にある南斗六星という星の並びにまつわるお話が残っています。南斗六星の名前の由来は、南の宙で輝く6つの星が柄杓(斗)の形に見えることから。北の宙にある北斗七星と対になるものと考えられています。道教の思想では、北斗七星には死を司る仙人、南斗六星は生を司る仙人がいて、この二人が相談をして人間の寿命を決めているそう。南斗六星の仙人が短命と宣告された青年の寿命を延ばした逸話も残っています。

いて座のギリシャ神話と南斗六星の仙人のお話、どちらも命がテーマになっているように思います。それぞれのストーリーが生まれた時代や場所、文化は異なりますが、星座の姿だけは何万年と時が経たない限り、変わることはありません。地球上どこから見ても同じように輝くいて座の姿が、不思議な偶然を生んだのかもしれません。
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