こんにちは。星空案内人の木原です。
冬の寒さが一段と厳しくなってきました。年末に向けて忙しくなってきている頃ではないでしょうか。仕事を終えて暖かい家に向かう途中にふと宙を見上げると、冬の星々が東から昇ってきています。この時間にもう冬の星が見える時期になったのか、と季節が巡っていく早さに、はっとさせられてしまいます。
平安時代に活躍した作家、清少納言の代表作といえる随筆『枕草子』にこんな一節があります。
「ほしはすばる、ひこぼし、ゆうづつ、よばい星すこしをかし・・・」
夜空に見える星の中で美しいと思ったものを綴った一節です。ここで最初に紹介されている星が冬に見頃を迎える「すばる」です。

「すばる」は日本ならではの星の和名です。世界共通の正式名称はプレアデス星団。冬を代表する星座のおうし座に位置し、散開(さんかい)星団という星が集まってできている天体です。すばるは明るい天体ではないため、街中よりも街明かりの少ない郊外のほうが見つけやすいです。

星が群がっている様子を肉眼で確認することはできますが、双眼鏡を使ったほうが群がる星の1つ1つをはっきりと見ることができます。
すばるを観察するときの倍率は7倍くらいがおすすめです。天体望遠鏡のような高倍率になるものだと、倍率が高すぎてすばるの星々が集まっている様子が分かりません。コンサートやスポーツ観戦に使うようなタイプの双眼鏡でも十分なので、お持ちであれば双眼鏡を使ったすばる観賞にチャレンジしてみてください。青白い星々が集まっている光景に出会えます。

夜空が明るくなってしまった現代でも、星が群がる様子を確認できるくらいですから、清少納言が生きていた時代はもっと美しく見えたことでしょう。
日本には、すばる以外にもいろんな和名が残されています。例えば、星が6つ集まっているように見えることから「六連星(むつらぼし)」。星が集まる姿をそのまま表した「群れ星」。「ゴチャゴチャボシ」という面白い呼び名もあります。
すばるの言葉の由来は定かではありませんが、古事記や日本書紀にその発祥と思われる言葉があることから、とても古い時代から日本人に愛されてきたということが分かります。

古代の人が見ていたすばるを、今を生きる私たちも同じように見ることができ、時が流れていっても変わらない美しさがそこにはあります。なにかと時間に追われる年の瀬に、そんなことを考えて宙を見上げてしまいます。
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