こんにちは。星空案内人の木原です。
理科の授業で呪文のように「すいきんちかもくどってんかい・・・」と唱えたことはありますか?太陽系の惑星を太陽から近い順に覚えるための呪文です。今日の主役は呪文の「か」。地球のお隣の惑星である火星のお話です。
火星は地球と同じ岩石でできた惑星ですが、大きさは地球の半分ほど。太陽系の惑星で2番目に小さな惑星です。また、火星にも大気がありますが、その主成分は二酸化炭素。そして、地球と同じように季節の変化が確認されていますが、平均気温はマイナス63度。地球と似ているようで似ていない、隣の惑星です。
地球から望遠鏡を使って火星を観察してみると、赤色の星に黒や白の模様があるのが分かります。酸化鉄に覆われた大地をベースに、火星の独特な地形や岩石の成分、極にあるドライアイスの氷によって黒や白の色の違いが生まれています。
地球の外側を回る火星は、約2年2ヵ月の周期で地球に接近します。今日はちょうど接近となるタイミング。接近すると宙に輝く火星がいつもより明るく見えて、見かけの大きさも大きくなるため天体望遠鏡での模様の観察もしやすくなります。明日になると全然見え方が違うということはなく、しばらく火星の見頃を迎えますので、晴れていなくても焦らず宙を見上げてみてください。深夜頃に南の宙高くで赤く輝く星があったら、きっとそれが火星です。
火星が接近すると、観察しやすくなるというメリットがありますが、それだけではありません。最近話題になることが多い宇宙開発の分野でも大事なタイミングのひとつです。2020年7月20日に鹿児島県の種子島宇宙センターからアラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機HOPEを乗せたロケットが打ち上げられました。翌年2月10日にHOPEは無事に火星に到着。火星を周回しながらミッションを果たしています。
実は、火星探査機を打ち上げるときは火星が接近するタイミングが大事な打ち上げ日時を決めるポイントとなります。わざわざ遠い時に出発するよりも近づいてきている時のほうが燃料も少なくて済むし、いいですよね。HOPEが打ち上げられた2020年は10月に火星接近のタイミングでした。この機会を逃すと次はまた2年2か月後。宇宙開発に関わる人の緊張感はものすごいものなのだと、想像できます。
NASAやJAXAなど世界の宇宙開発機関は月の次は火星を目標地点として人類の到達を目指しています。今は地上から見上げるだけの火星も、いつかは“行ける場所“に変化するかもしれません。
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