こんにちは。星空案内人の木原です。
今日は1930年に天文学者クライド・トンボーが冥王星を発見した日です。冥王星は地球と同じ太陽系の一員ですが、肉眼でも見える金星や木星のような明るさはなく、天文台にあるような大型望遠鏡でもその輝きは目立ちにくいため、あまり馴染みがないかもしれませんね。
冥王星の英語名のPlutoは、ギリシャ神話に登場する冥界の王の名にちなんでいます。地球からうんと離れた漆黒の世界に存在する姿から連想されたのでは、と言われています。日本語名である冥王星は日本の天文学者野尻抱影(のじりほうえい)によって付けられました。英語名の由来が上手く表現されていて、そのセンスには脱帽します。
そして、冥王星にある5つの衛星にも冥界にちなんだ名前が付けられています。最初に発見されたカロンは冥界に導く船頭の名前から。冥界と現世を隔てる川の女神ステュクス、夜の女神でゼウスに恐れられたニュクス、冥界の怪物のヒドラと番犬ケルベロスもいます。
なんだか恐ろしい雰囲気が漂う冥王星ですが、私たちに新しい太陽系の姿を与えるきっかけとなった存在でもあります。
時代は遡って、1846年に天文学者ルベリエが海王星を発見、さらに、海王星の外側にはまだ別の天体があると予想しました。それ以降、何十年にもわたり多くの人が探索に携わり、何百万もの星を調べた末に発見された天体が冥王星でした。
発見以降は太陽系第9惑星として親しまれましたが、調べていくうちに冥王星は月よりも小さく、軌道も他の惑星とは異なる点があることが分かり、“本当に惑星なのか”という疑念が冥王星の周りを取り巻きました。
“冥王星とは何者なのか”を知るために、研究者は冥王星よりも遠い場所にある天体を探索し続け、そして2005年に冥王星と大きさが近い天体エリスが発見されました。エリスの発見を機に国際天文学連盟は惑星の定義を見直し、2006年には冥王星は準惑星と位置づけられ、冥王星と似たような性質を持つ天体を分類するための冥王星型天体という新しい種族が誕生しました。
当時は“準惑星に降格”というような見出しでニュースになった冥王星ですが、決して降格というものではないと思っています。人類が知りうる太陽系の範囲を大きく広げ、未知の世界を切り開いていくための新しい鍵を渡してくれたのが冥王星です。私たちが定義をどう変えていこうと、冥王星は確かに存在し、今日も変わることなく太陽系の一員として運動し続けているのです。
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