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春の大曲線

月と星 2026.04.17

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こんにちは。星空案内人の木原美智子です。
4月も中旬を迎え、春の日差しも一段と増す頃。強い春風が吹き、恵みの雨が大地を濡らして、確実に季節を進めている自然の姿に、新年度のちょっぴり疲れた心を癒してもらう日々です。今夜は霞が晴れていつもより星が見えそうだな、と思った日は、宙の景色を楽しんでみませんか。4月中旬の20時頃の宙では、春の星座たちが優しい佇まいで静かに輝いています。

星座の見つけ方のひとつに、各星座の特徴的な明るい星々を線で結び、結んでできた形を活用する方法があります。その代表例は夏の大三角。夏の大三角を手掛かりにすれば、夏の星座を見つけることができるのです。なぜ手掛かりが必要かというと、88ある星座の多くは形が難解なものばかりで、オリオン座のように分かりやすい形の星座は少数派。それでも星や星座を見つけてみたい、と思ったときに役立つ目印が夏の大三角のような特徴的な星の並びだからです。この、星座とは異なる星の並びをアステリズムとも言います。

写真提供:木原美智子

春にも「春の大三角」や「春のダイヤモンド」といった世界各国で親しまれるアステリズムがあります。一方で、日本独自の「春の大曲線」と呼ばれる星の並びがあります。北斗七星(おおぐま座)のひしゃくの柄のカーブをそのまま伸ばしていくと、うしかい座のアークトゥルス、さらに伸ばすとおとめ座のスピカに到着します。北から南へと、宙の半分以上を使った大きなカーブが春の大曲線です。スマホを片手に下を向きがちな日々ですが、たまには首の体操として宙に伸びる春の大曲線を見上げてみるのも良いかもしれません。

春の大曲線の名付け親は、昭和期に活躍した天文学者の鈴木敬信。天文教育にも尽力された方で、のちにプラネタリウム解説で用いられるようになり、広く認知されるようになりました。宙に大きく描かれた緩やかなカーブは、春の星座たちを見つける目印になるとともに、ゆりかごとなって春の星々を包み込んでいるようです。

英語圏には、春の星々のメインルートの覚え言葉として「Arc to Arcturus, speed on to Spica.」(アークトゥルスへ弧を描き、スピカへスピードを上げよう)があります。星の頭文字や単語の音を上手に組み合わせた覚え方で、春の宙を駆ける疾走感を感じます。ちなみに、春の大曲線はスピカのその先のからす座も含むことがあります。英語でも同様に「then curve to Corvus.」(さらにカーブしてからすへ)。綺麗な語呂合わせに感服です。

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木原美智子

星空案内人
広島県出身。瀬戸内の宙を見て育ちました。好きな季節は、コスモスが咲き、凜とした空気が漂う秋。宙を見上げるのが好きなので、星だけじゃなく宙にあるもの、宙に関わる文化に興味があります。ペンギンと野球も好き。

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