こんにちは。和暦研究家の高月美樹です。
かさねの色目の「桃」は、桃色と若草色の組み合わせです。
二十四節気では清明を迎えました。まさに春らんまん!
サクラを皮切りに樹木の花が次々と咲き出します。今、関東でいちばん見頃なのはハナカイドウでしょうか。桜よりも濃いピンクで、ブラッサム風に少し下向きに咲く愛らしい花です。
ほかにはモモ、ヒメコブシ、シデコブシ、ミツバツツジ、ハナミズキ、モクレン、ハナズオウ、ツツジ、シャクナゲなど。いずれもピンクの花たちです。
自然界にも色の法則があって、初春はレンギョウやロウバイなどの黄色の花樹から始まって、次第にピンクが多くなってきます。春たけなわといえば、やはりピンクです。
一方、広葉樹の芽吹きも一斉に始まりました。毎日、目にみえて枝先がふわりとした緑になって、その勢いとともに人の心も活気づいていきます。
花紅柳緑(かこうりゅうりょく)は、春の美しい景色を総称する言葉。ちょうど桜が満開になる頃、柳がふわっとやわらかく芽吹き出して、そのとりあわせの美しいこと!
花は紅、柳は緑。思えば、素生法師の有名な歌の通りです。
「見渡せば桜柳をこきまぜて、都ぞ春の錦なりける」
花の錦とはこのことかと思うような幸福な風景。公園などに絵のように植えられて、共に巨木になっているところが結構ありますので、ぜひこの組み合わせを見つけてみてください。
山々も自生する山桜のピンクとふんわり芽吹いたさまざまな緑の濃淡に包まれ、優しくけむるようにみえています。大地はすっかり緑におおわれ、小さな草花が花盛りです。草花で今、盛りなのはキュウリグサ、ホトケノザ、ヒメオドリコソウ、ムラサキケマン、ハコベ、ナズナ、カラスノエンドウ、スミレなどです。
新型コロナウィルスの影響で大騒ぎになっていますが、うちの前の公園には人々が三々五々、やってきては運動したり、ピクニックをしたり、大地に寝転んだり、木登りしたり、平和で美しい時間をすごしています。
家にいることが多くなっている今、屋外の気持ちよさ、自然と接する喜びを感じている人が多いのかもしれません。お散歩の際は、ピンクや若草、「春の錦」を探してみていただけたらとおもいます。
「桃と花嫁の歌」についてはこちらをご覧ください
※過去の記事になります
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