自分だけの秋の七草
9月になって、白露の節を迎えました。秋の空気感も本格的になり、野の草には朝になるとしらつゆが宿るころ、という意味合いです。秋の虫の声も気づけばずいぶん盛んになっていて、秋の情趣が一段と色濃くなってきました。
庭でも、夏の花はすっかり勢いをなくし、いつの間にか姿を消している草もあります。いっぽう、あちこちで秋の花が咲き始めている様子。夏の花と違って、秋の花はサイズも小さく、どこか楚々とした雰囲気です。
秋の花といえば、やはり秋の七種。『万葉集』で山上憶良が詠んだ、「秋の七種」がその由来です。
芽子(はぎ)の花尾花葛花瞿麦(なでしこ)の花
女郎花(をみなへし)また藤袴朝貌(あさがほ)の花
さいごの花「あさがほ」については、長年にわたって数々の研究家によっていくつもの説がとなえられてきました。いまはキキョウが定説になっているようです。
憶良の七種を、覚えやすく調子を整えた形で、
ハギ、キキョウ、オバナ、ナデシコ、オミナエシ、クズ、フジバカマ
と並べるのも、今は一般的になっていますね。
憶良の七種もいいけれど、じゃあ自分でもオリジナルの秋の七種を選んでみよう、と考えました。夏草の掃除をしながら庭を歩き回ってみることに。
そこでまず自分の最も好きな秋の草をコレクション。それが以下の七種です。
吾木香水引紫苑白山菊
風草薊男郎花
(ワレモコウ、ミズヒキ、シオン、シラヤマギク、カゼクサ、アザミ、オトコエシ)
いかがでしょうか。かなり渋い感じですね。少しずつ摘んで、花束にしてみます。
秋はキク科の花も多く咲きます。オリジナル秋の七種第二弾、「菊尽し版」も考えてみました。
優雅菊段戸襤褸菊野紺菊
嫁菜菊芋白朮野路菊
(ユウガギク、ダンドボロギク、ノコンギク、ヨメナ、キクイモ、オケラ、ノジギク)
見事な秋の菊尽くし。菊花展に出品されるような立派に仕立てられた厚物菊とは違う、散歩に出れば、道や林の脇に溢れるほどに咲いている菊ばかりです。散歩をしながら摘んでいると、いつの間にか花束が出来上がっていました。
皆さんも、ご自分のオリジナル秋の七種の花束を作ってご覧になるのはいかがでしょう。自分で選んだ七種の花は、以後ずっと不思議に近しく感じられるはずです。
平野恵理子
イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。
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