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手づくり二十四節気/立春りっしゅん

二十四節気と七十二候 2023.02.04

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山椒のすりこ木をつくる

新しい暦の一年の始まり、立春です。

皆さまにご覧いただいてきました「手づくり二十四節気」も、この「立春」の回で三年目となりました。三年目も変わらず、どうぞよろしくお付き合いくださいませ。これまでよりいっそう、暦や二十四節気に親しみを感じて興味を持っていただけるような、季節の手づくりをご紹介していきたいと思っています。 

二十四節気の一番バッター、立春は春の始まり。まだまだ寒くて実際に春を感じることはむずかしいところですが、はやくも心は春に呼び寄せられていきます。

春の味覚、山菜や木の芽に思いが及んで、ふと気づきました。庭木の剪定は、葉を落としている今が適期です。大きな木の枝はプロの方にだいぶ切ってもらいましたが、そうだ、庭の隅っこにある山椒の木はまだ伸び放題のままだった。あの枝を一本切って、すりこ木をつくろう。

前から憧れていたのです。山椒の木のすりこ木に。木肌のままのすりこ木ですり鉢を使えば、香りもよさそう。香りだけでなく、山椒の材の硬さも、すりこ木に適したものだといわれています。

庭のあちこちに勝手に伸びる山椒の木の枝を一本切って、自作のすりこ木をつくろうと思っていたのです。が、冬になるとなかなか外に出ることをせず、そうしている間に緑いっぱいの季節になって、枝を切るのは「葉が落ちてからにしよう」と思うのを繰り返し、何年も経ってしまった怠け者。立春になったことだし、今年の自分は違うぞ、と気合を入れました。

思いたったら実行へ。冷たい風の吹く中をセーターのまま庭に出て、剪定鋸を手に枝を切ってきました。山椒の木は、幹の木肌にイボイボがあって、そこからトゲが生えています。あっという間に何カ所もトゲに刺されて小さく流血。が、痛がってなどいられない。すりこ木をつくるぞ。

いつも思うのですが、木の枝は落としてみると、思っているより大きくて重い。落とした枝の太いところを一本分、細いところも一本分それぞれカットして、部屋の中に持ってきました。まずはざっと洗って拭きます。しかるのち、鉈を使って木肌にあるトゲを削って整えます。先端部分は、角を落とす感じで少し面取りを。あとは、皮を削った持ち手側の先にドリルで穴を開けて、紐を通したら出来上がり。本来なら、材はしばらく乾燥させてから使うそうですが、待てない! すぐにでも使いたい。使いながら乾燥させていくからどうか許して。

試しに胡麻をすってみると、今まで使っていたすりこ木よりも大きくて重いので、あっという間に胡麻がすれます。ああいい香り。これから毎日胡麻和えをつくろう。そうして、春になって山椒の芽が出たら、木の芽田楽に蕗味噌、竹の子の木の芽和えにとどんどん使えそう。細い方のすりこ木用には、小さなすり鉢を購入したいな。卓上すり鉢として、是非とも。

山椒の木が手に入らない方には申し訳ない内容でしたが、山椒のほかにも、朴の木、桐の木、柳の木などもすりこ木に適した材といいます。身近な木の枝で、すりこ木、是非つくってみていただけたらと思います。そして来たる春には、存分に使って春の味覚を味わい尽くそうではありませんか。

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平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

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