「立春大吉のお札で厄除けを」
はじめまして。これから一年間、二十四節気ごとにお目にかかります。平野恵理子と申します。
どうぞよろしくお願い致します。
日々、気負わずに暦とともに暮らせるといいですね。この連載では、二十四節気ごとに、その季節や節目に合ったものを手づくりするご提案をしていこうと思っています。身の回りにあるものを使って、ごく簡単にできるものばかり。一時間もかからずに仕上げられるのもポイントです。
自分でつくったものは、出来上がりが多少ヘッポコでも、どこか思いがこもるもの。その日、その季節を過ごしたことが印象に残ります。毎回でなくても、作ってみようかな、と思ったものがあったら、ぜひ挑戦してみてくださいね。
初回は立春。二十四節気の第一節です。暦の一年は立春から始まります。昨日の節分で豆撒きもして、すっきりさっぱり迎える春の日。寒さの底を打ったばかりで気温はまだ低いものの、春の気分をもたらしてくれる立春は、なによりうれしいものです。
さて、この立春には、「立春大吉」の厄除けのお札を貼る習慣があります。
お寺や神社でもこのお札が配られますが、自分で書いてもいいそうです。筆者も、今の住まいに引っ越してきた最初の立春に、このお札を配ってくれる寺社が近くで見つからなくて、仕方なく自分で書いたのが、その後毎年自前で用意するきっかけになりました。
立春大吉とは、春を寿ぐ、立春を迎える喜びの言葉ですが、同時に厄除にもなるといいます。というのも、この文字、よくよく見ると左右対象なのがミソなのです。
「立春大吉」のお札を貼ってある玄関から「こんにちは」と家に入って来た災厄が、ちょいと玄関を振り向くと、また「立春大吉」と書いてある。「あれ? 入り口は今入って来たところか」と回れ右をして災厄は家の外へ出てしまう、ということのようです。「わざわい」さんも、わりと呑気ですね。
いっぽう、対の「鎮防火燭」は火の用心のお札。「立春大吉」のお札と左右対象に貼ります。荒神さんとして、台所の目の高さに貼ってもOK。「火」の字が小さいところが火伏せの心を表していて、キュンとします。
お札は、奉書紙を使うと本物の気分が出ます。もしもなければ、半紙でも。しっかりこく墨をすって、心を込めて一文字ずつ書くのがポイント。お札を包む薄紙は半紙を使って。お札に直接ピンを使うことのないよう、台紙ごと包んで、台紙をピンで留めるようにします。
立春大吉のお札に守られて、一年息災で暮らせますように。また次回の節目でお目にかかりましょう。
平野恵理子
イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。
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