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手づくり二十四節気/啓蟄けいちつ

二十四節気と七十二候 2023.03.06

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小鳥のための巣箱をかける

3月にはいりました。啓蟄です。冬のあいだ土の中で眠っていた虫たちが、目を覚まして地上に出てくるとき。春の兆しもいよいよ本格的になってきましたね。

今は、小鳥のために巣箱をかけるのに、ちょうどいい時季でもあります。手元には小さな巣箱が2つ。ずいぶん前から持っていたのに、自分できちんと巣箱をかけるのは今年が初めてです。今年は気合を入れて、巣箱をかけようと決心しました。小鳥さんが巣箱を気に入って、子育てをしてくれるといいのですが。

小さな巣箱なので、使ってくれるのはシジュウカラやヤマガラ、ムクドリくらいまではいけそうです。巣箱を作っている荒物屋さんに聞いたら、ここ寒冷地では、3月上旬くらいが巣箱をかけるのに最適期だそう。3月前半は野鳥にとってもまだまだ寒いので、まずは寒さを避けるのに巣箱にはいってくる。そのときに巣箱の様子を見て、気に入ったら子育てにも使うのだというお話。今だ今だ、巣箱をかけるのは今しかない。

というわけで、木にかける前にまずは巣箱の掃除から。巣箱は毎年必ずきれいに掃除する必要があるということです。使ったことはないのですが、年中ベランダに置いて眺めていたので、やはりさっぱりさせなければ。しかも2つのうちひとつは、去年の夏キイロスズメバチに営巣されてしまったので、もう一度念入りに汚れを取ります。小鳥さんが巣づくりする前にハチに先取りされてしまうなんて。失態でした。

掃除がすんで乾かしたら、水に濡らしたシュロ縄を用意していよいよ設置です。
設置の条件はいくつか。

・高さは2.5メートルくらいに
・しっかりした木の幹で、枝のないところが適している
・周りはひらけていることが望ましい
・巣箱は若干下向きに
・方角は関係なし
・縄張りを考えて、巣箱同士の距離は10メートル以上とる
などなど。

条件を頭によく吟味して、設置場所を決定。しかるのち、幹に脚立をしっかりと立てかけて、巣箱とシュロ縄を手に登っていきます。

巣箱を片手で支えて木の幹をシュロ縄で2周させるのはけっこうホネ。脚立に乗るときは気をつけて、と周りの人から散々注意されています。これで落ちて怪我などしたら、叱られそう。落ちないように、巣箱が曲がらないように、グラグラしないように、と注意点がたくさん。あわてず、ゆっくり確かめながら作業をします。

両方の巣箱がかかったころにはもうヘトヘト。よくがんばりました。さあ、これで春から夏にかけてが楽しみになってきました。自分の手でかけた巣箱で野鳥が子育てをしてくれるかもしれません。愛鳥週間の5月には、かわいい雛が生まれているでしょうか。そっと見守りたいと思います。

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平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

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