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二十四節気と暮らしの道具/冬至とうじ

二十四節気と七十二候 2024.12.21

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冬至 12月21日~1月5日 十一月中〈日南の限りを行きて、日の短きの至りなればなり。『暦便覧』〉

火焚きのかわりのろうそくの火

冬至です。日の短さが極まる日。あっという間に日が暮れてしまう日々でしたが、この日を境に昼間の時間が長くなっていきます。冬至は、春に向かい始めることをお祝いする日。各地でそのお祝いの行事が催されました。

日本では、柚子湯に入ったりカボチャを食べたりするのは今も一般に伝わっていますが、かつては「冬至の火焚き」という習慣がありました。家の門口で、茄子の枯れ枝や細かい粗朶 (そだ) を燃やすのです。

ヨーロッパでも、冬至に丸太を焚いて祝ったそう。それは、丸太を模したクリスマスケーキ「ブッシュ・ド・ノエル」として今も伝わっていますね。それもそのはず、クリスマスは冬至のお祝いに由来するといわれています。

さて、そんな冬至は年の瀬が迫って、一年でもいちばん気忙しい時です。大掃除に年賀状の用意、お正月の買い物と、年内にしなければならないことはたくさんあります。さらに忘年会だってしたいし、クリスマス会もはずせません。

とはいえそんな日々だからこそ、ちょっと一息入れたいものです。冬至の晩だけでも、気の急くモードを少し抑えてみませんか。ろうそくの灯りで心を落ち着けるのはいかがでしょう。茄子の枯れ枝ではないけれど、「現代版・冬至の火焚き」ということで。

ほのかに揺れる、あたたかな色の火を見ていると、少しずつ気持ちがやわらかくなっていくのがわかるはず。静かな炎が、少しずつ蝋を溶かしていきます。ほんの5分でも10分でも、そうすることで、リラックスモードになれることでしょう。

ロウソクは、火をつけたらそばから離れることができません。じっと見つめる5分間もすわっていられない、という方には「ロウソクもどき」という優れた品もあります。ロウソク状の樹脂のボディにLED電球が仕込んであって、スイッチを入れると、電球色の灯りとともに、炎を模した小さな白いプレートが音もなく揺れるのです。知らないで遠くから見れば、完全にロウソクに見えてしまいます。

ロウソクは、サイズも形も色もさまざまあります。日頃使わない方も、きっと家のどこかの引き出しなどに入っているはず。冬至の晩は、これを引っ張り出してちょいと火をつけてみるのはいかがでしょう。心に平穏が訪れること、請け合います。

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平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

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