◎立秋 8月7~22日 「ハギとウズラ」
暦に秋がやってきました。立秋、秋のはじまりです。厳しい残暑の日々が続きますが、それでももう秋と考えれば少しは希望も持てるというもの。暑さを避けて、残暑を乗り越えることにいたしましょう。
陽気としては、大暑から立秋にかけてが暑さのピークでもあります。ただ、時折感じる風の涼しさに、秋の気配も感じられるはず。その小さな秋を拾い集めながら、本格的な秋の訪れを待つことにします。
秋の花としてはいろいろありますが、その代表的な存在がハギです。山上憶良の詠んだ「秋の七種」の冒頭に登場するのもハギです。
秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花
芽子(はぎ)が花尾花葛花瞿麦(なでしこ)の花女郎花(おみなえし)また藤袴朝貌の花
いまは「ハギ、キキョウ、オバナ、ナデシコ、オミナエシ、クズ、フジバカマ」と単純に並べて言いますが、さすが憶良の歌は情緒纏綿、奥行きと膨らみのある秋の七種を感じさせてくれます。
秋草に似合う鳥といえば、ウズラ。ウズラは秋の季語でもあります。小さくて丸っこくて、可愛らしい鳥です。その魅力ある姿は、絵画のモチーフにもよく使われてきました。焼き物の絵付けにもしばしば登場します。
ウズラというとあの斑模様の小さな卵ばかりを思い出しがちですが、草むらで過ごす小さな鳥の姿も想像してみてください。揺れる萩の花に似合う、秋の鳥ウズラです。
イラスト提供:平野恵理子

平野恵理子
イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。
