こんにちは。暦生活編集部です。
今日は「赤とんぼ」についてのお話です。
季節が夏から秋へと移り変わり、空も秋のものになっていく頃、すいっと気持ちよさそうに飛ぶとんぼの姿をよく見かけるようになります。そんな時ふと、頭の中で流れる歌があります。
「夕焼、小焼の、あかとんぼ、負われて見たのは、いつの日か。」
日本の代表的な童謡のひとつ、「赤とんぼ」。
懐かしい気持ちにも、どこか寂しい気持ちにもなる、不思議な歌。茜色の空を背景に、黄金色に染まった稲穂の上を飛び交う赤とんぼの姿が思い浮かびます。
「赤とんぼ」というのは、あきあかね、なつあかね、のしめとんぼなど体の色が赤いとんぼの総称です。その中でもよく知られているのはあきあかね。
あきあかねは、春に卵からかえり、6月頃に羽化するまで池や沼の中で過ごします。羽化した頃は、実はまだ体の色は赤ではなく茶色。空へ飛び出したあと、暑さの厳しい夏には涼しい山奥へ向かいます。そして秋になると、恋の季節の到来。山から里に下りてきます。その頃には、体の色も真っ赤に染まり、その姿はまさに「赤とんぼ」。無事に恋が実ると、雌は水辺に卵を産み、また来年の春に新しい命が生まれます。
古くはとんぼを「あきつ」と呼んでいました。あきつとは、秋の虫という意味です。
じつは日本も、昔は「秋津洲(あきつしま)」といわれていました。日本書紀では、神武天皇が大和の国を見た時、美しい国を見て「あきつのとなめせるがごとし(とんぼが交尾をしている姿のよう)」といったことから「秋津洲」と呼ばれるようになったそうです。
日本には、季節の移り変わりとともに姿を見せてくれる虫がたくさんいます。
春は蝶 夏には蝉 秋に赤とんぼ。
冬には蛹や卵も見ることができます。
それぞれ思い出す懐かしい景色、もしくは心に思い描く情景があるかもしれません。
私はそんな時きまって、日本っていいなとシンプルに、素直に思います。
そしてそれをこうやって、お届けできること、共有できることがありがたいなと思います。
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