こんにちは、国際中医専門員の櫻井です。
あれ?なんか口が痛い…食べ物・飲み物がしみる…。口内炎、厄介ですよね。
酷い場合は、痛すぎて食べられないとか、しゃべれない状態にもなります。
秋から冬にかけては美味しいものがたくさんある季節。口の中が痛くて食べられないなんてもったいないですよね。
西洋医学的には、ウイルスや細菌感染によるもの、噛んでしまった・歯の矯正など、「傷」によるもの、ビタミン・ミネラルの不足や、ストレスによるもの、口腔内の乾燥、その他、ベーチェット病や膠原病、アレルギー性の炎症、癌などが口内炎の原因と考えられています。
殆どの場合は2週間ほどで治るものが多いですが、何度も繰り返す、なかなか治らないなどの場合はお医者さんに相談するようにしましょう。
中医学で「口」のトラブルは、「脾」との関連性で考えます。また、「舌」は「心」との関連性で考えます。「脾」とは胃腸などの消化器系を指し、「心」とは心臓を指しています。さらに「脾」は「胃」と繋がっており、「心」は「小腸」と繋がっています。これらのことから、中医学で口内炎を考えるときには、胃腸系と、心のトラブルを前提に考えていきます。
「口内炎」というぐらいですから、口内炎は口の中で起きている炎症です。
炎症を中医学では「火」や「熱」として考えるので、口内炎の原因は、
さらに、口内炎は実熱(外的要因)タイプと虚熱(内的要因)タイプの2つのタイプに分けて考えます。
実熱タイプ(じつねつ)
実熱タイプの口内炎は炎症が激しく、痛みも強いのが特徴です。また急に発症し2、3日で治まるというのもこのタイプに多く見られます。なんらかの理由で脾胃に熱がこもったか、心に熱がこもったかです。
「脾胃(胃腸系)」に熱がこもってしまう第一の原因は食べものです。
辛い物や味の濃いもの、熱いものの食べ過ぎや、お酒、甘いもの、脂っこいものの食べ過ぎなど。食べ過ぎると脾胃に熱がこもってしまいます。
そのほか、脾胃がもともと弱いことによって、未消化物が残り、それに熱がこもってしまうということもあります。
もう一つの「心」に熱が溜まるのは、「ストレス」です。
精神的なストレスは、体内のエネルギーである「気」の巡りを悪くします。悪くなった流れは、詰まったポンプを想像するとわかりやすいかと思いますが、負荷がかかり、熱を発生します。発生した熱は、その特性により、上へ上へと昇り、体の上部に症状がでやすくなります。
例えば、目が真っ赤に充血したり、カーッとなってのぼせたり、そして口内炎などです。もう一つストレスに関連して発生する熱は「感情」です。中でも「怒り」という感情は熱に変わりやすいとされています。
食物や感情、ストレスなど、これら外的要因によってもたらせた過剰な熱を中医学では「実熱」(じつねつ)といいます。
「実熱タイプ」の口内炎の特徴は、サイズ大き目で、強い痛みを伴う潰瘍で、周囲は赤く腫れている。話したり、食事をしたりすると痛みが増します。喉や口が乾燥したり、時には発熱することもあります。
脾胃(胃腸系)に熱がこもっている場合は、食欲が亢進したり、減退したりします。酸っぱい酸が上がってきたり、口臭があることもあります。口の周りにニキビが出たり、唇が赤くなったり、口角が切れることもあります。舌は紅くなり、苔は黄色くなっているときもあります。
これらの対処法として「熱を冷ます食材や漢方」を使います。
実熱(外的要因による熱)に対する涼性の食材
トマト、キュウリ、冬瓜、苦瓜、大根、豆腐、レタス、ホウレン草、ちんげん菜、菜の花、水菜、セロリ、セリ、菊花、ユリ根、ごぼう、レンコン、タケノコ、蒟蒻、もやし、まいたけ、リンゴ、梨、イチゴ、バナナ、スイカ、キウイ、柿、ビワ、グレープフルーツ、オレンジなど。
虚熱タイプ(きょねつ)
虚熱というのは、体内の寒熱のバランスが崩れたことによる「相対的な熱」に関係します。
人の体は、体を温めるための「熱」と、それを抑制する「水(潤い、体液、血液など)」が、ちょうど同じ量あることで寒熱のバランスが取れている状態になると中医学では考えます。もし水が少ないと熱が相対的に過剰になってしまいます。
これを先ほどの「実熱」に対して「虚熱」(きょねつ)と呼んでいます。このような場合は、熱を冷ますよりは、潤いを補う食材や漢方を使って対策します。
「虚熱タイプ」の口内炎では、サイズは小さ目で、表面は白くなることもあります。口内炎の周囲は余り赤く腫れあがりません。痛みは比較的少ないですが、繰り返しやすいです。
実熱タイプに対して、胃腸症状が少ない、またはないのも特徴です。口が乾燥するというよりは、喉が渇き、水分を欲しがります。手足のほてりや肌や髪の乾燥なども見られることもあります。舌は紅く、表面にひび割れがみえることもあります。苔は無い場合や、あっても乾燥している場合が多く見られます。
虚熱(潤い不足による相対的な熱)に対する食材
白菜、里芋、百合根、山芋、人参、アスパラ、クコの実、キクラゲ、イカ、ナマコ、豚肉、豆乳、トマト、レンコン、白きくらげ、アワビ、ハマグリ、白ごま、黒ゴマ、レモン、あさり、シジミ、カモ肉、豆腐、キュウリ、スイカ、菊花など。
実熱タイプは、普段健康な人に起こりやすく、症状は強く出ますが、治りも早いというのが特徴です。虚熱タイプは、長い間病気をしていたり、体力が落ちている場合に起きやすい口内炎で、症状は強く出ませんが、治りにくく、繰り返しやすいという特徴があります。
どちらのタイプも日常的な対策としては、口腔内をきれいに・清潔に保つことと。辛いもの、味の濃いもの、脂っこいものを摂りすぎないことが不可欠です。お酒は熱の原因となるのでほどほどに。たばこは熱そのものなので、避けてください。食事の基本は、葉野菜たっぷりのさっぱり味を中心にしてくださいね。
櫻井大典
国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。
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