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ダイヤモンドダスト

旬のもの 2021.02.12

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こんにちは。気象予報士の今井明子です。

光は少し春めいてきたものの、まだまだ寒い日が続きますね。
今回は、とても寒い場所で、寒い季節に発生する気象現象をご紹介します。
それは、「ダイヤモンドダスト」です。

ダイヤモンドダストと聞くと、私のような40代の人間のなかには懐かしい気分になる人も多いのではないでしょうか。そう、子ども時代に大ヒットし、アニメ化もされた漫画の「聖闘士星矢」に出てくる技の名前でしたよね。

しかしダイヤモンドダストは、もとはといえば、空気中にまるでダイヤモンドのようなキラキラとしたものが舞う気象現象のことをいうのです。
とても珍しい現象で、寒い場所の真冬にしか発生しません。

このダイヤモンドの正体は、小さな氷の粒。空気中の水蒸気が、水にならずにいきなり凍ることでこの氷の粒ができます。

そして、氷の粒が太陽の光を反射してキラキラと光るのです。

意外に思えるかもしれませんが、水というのは、ときには液体(水)になるというプロセスを飛ばして、気体(水蒸気)からいきなり固体(氷)になったり、その逆で固体から気体になったりすることがあるのです。

しかし、ダイヤモンドダストは、かなりさまざまな気象条件が重なり合わないと発生しません。
その条件とは、

  • 気温が-10℃を下回る
  • 快晴
  • 無風
  • 明け方
  • 視程のよさ(霧が出ていない)
  • 適度な湿度

となります。

日本でこの条件を満たす場所は、標高の高い場所や北海道の内陸部ということになります。

ただし、そこに行ってたとえ上記の条件をすべて満たしていたとしても、発生するとは限りません。

事実、私自身は学生時代、スケートの試合で1月に北海道の帯広まで行ったことがありましたが、ちょうどこのような気象条件だったのにも関わらず、ダイヤモンドダストは確認できませんでした。

しかし、なかなか出会えない景色だからこそ、一度は見てみたいとも思います。いったいどのくらいキラキラしているのでしょう。

見たいと思うのなら、寒すぎて耳が痛くなってくるような過酷な環境に身を置かなければいけないのでしょうが、出会えたらきっと息をするのも忘れて見入ってしまいそうです。

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今井明子

サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。

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