こんにちは。気象予報士の今井明子です。
2021年は梅雨入りがやけに早いですね。沖縄・奄美地方はもちろん、九州から東海地方では5月中旬にいち早く梅雨入りしてしまいました。近畿地方では統計史上初、東海地方でも統計史上2番目の梅雨入りの早さです。
東日本でも5月中旬はぐずついた天気が続き、「こちらも梅雨入りか?」と誰もが思ったものですが、結局また晴れ間が戻って異例の早さの梅雨入りには至りませんでした。

では、東日本の5月中旬の長雨はいったい何だったのか。こちらは「走り梅雨」という名で呼ばれる現象です。「走り」とは先駆けてという意味で、「梅雨の走り」とか「迎え梅雨」などとも呼ばれます。
梅雨というのは、北の冷たい空気でできた高気圧と、南の高温多湿な高気圧の境目にできる停滞前線が日本列島に停滞している状態のことを指します。この停滞前線は、梅雨前線とも呼ばれます。毎年ゴールデンウィークが明けると、早くも沖縄・奄美地方に前線が停滞して梅雨入りします。その後、その停滞前線が北上して、例年ではだいたい5月下旬~6月中旬頃に九州・四国・本州が梅雨入りします。

しかし、停滞前線は毎日少しずつ北上していくわけではなく、日によって北に行ったり南に行ったりと位置が変動します。前線の北と南にある高気圧の勢力が日によって違うからです。
それで、たまたま停滞前線が北上したときに、梅雨のような天気になるというわけですね。
このようなぐずついた天気が続いた後、またすがすがしい陽気に戻ればそれは「走り梅雨」なのですが、戻らなければ結果的に「梅雨入り」となります。地方気象台では、この時期に今後しばらく曇りや雨の日が続きそうなら「〇〇地方で梅雨入りしたとみられる」という形で発表を行います。

今年は東日本も西日本も5月中旬に同じように梅雨のような現象が起こったものの、西日本で梅雨入りの発表があり、東日本では発表されなかったのには、そういった理由があるのです。
ともあれ、いよいよ本格的な雨の季節です。今年の梅雨はいつまで続くことやら。大雨による災害が発生しないだろうかと気をもむ日々がしばらく続きそうですね。


今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
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