こんにちは。和菓子コーディネーターのせせなおこです。
秋になると「言葉はさんかく こころは四角」という曲を聴きたくなります。その時に思い浮かぶのが京都銘菓の三角の和菓子「八ッ橋」です。

八ッ橋といえばやっぱり京都。京都といえば、和菓子三大都市の一つであり、多くの老舗はもちろん、生活に和菓子が馴染んでいる大好きな街です。今までは頻繁に行っていましたが、旅行できない日々が続き、早く行けたらいいなと最近は今までの写真を眺めています。京都の記憶に蘇るのが八ッ橋のお店。必ずといっていいほど修学旅行生たちがお土産を選んでいて、その姿がとてもかわいらしくてついついほっこりしてしまいます。

今では生八ッ橋が八ッ橋と定着していますが、八ッ橋とはもともとは固いお煎餅のようなものであるのをご存知でしょうか。とはいえ私も家族で旅行していたとき、両親に「昔は八ッ橋は固いお煎餅の方が一般的だったんだよ、日持ちもするしね〜」というのを聞いて、初めて本来の”八ッ橋”を認識しました。八ッ橋は米粉・砂糖・ニッキを混ぜて蒸した生地を、薄く伸ばして焼いたもの。その固さや形は生八ッ橋しか知らなかった私にとってはかなり衝撃的でした。

さて、そんな八ッ橋が生まれたのは江戸時代。名前の由来には2つの説があります。1つは琴の名人だった八橋倹校が亡くなったことを偲んで琴の形のせんべいを作り「八ッ橋」と名付けた説、そしてもう1つは「三河国八ッ橋」という故事にちなんで八枚橋の板の形を模したという説です。
明治時代に行われたパリ万博では銀賞を受賞、大正時代には、天皇即位の祝賀行事が京都で行われた際のお土産として八ッ橋が多くの人に知られるように。以来京都のお土産として浸透していきます。そして、ようやく!1960年代に生八ッ橋が誕生しました。

今では、ラムネにチョコレート、いちごやみかんなど種類豊富なお店や、生八ッ橋の生地を使って上生菓子を作るお店など見るだけで楽しい八ッ橋がたくさんあります。
八ッ橋をたべると言葉はさんかく、という言葉の意味を噛み締めているような気持ちになります。「言葉はさんかく こころは四角」の心地よいメロディーを聴きながらそんなことを思った静かな秋です。

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