こんにちは。暦生活編集部です。
朝、家を出て駅まで歩いているとき、吐く息が白くなることや、木々に葉が少ししか残っていないのを見ると、ああ、今年も冬がやってきたなあと、冬が好きなわたしはちょっと嬉しくなります。
空気が澄んでいるからか、毎日通っている道も、まわりの風景もとても綺麗でつい見つめてしまう。いつもより早く家を出て、回り道をしながら写真を撮るのが好きです。
冬には待ち遠しいイベントもたくさんありますね。わが家でも子どもと一緒にクリスマスツリーを出しました。おせちの予約もしなくっちゃ。華やかなイベントが目立つ中、今日は「十日夜(とおかんや)」という、もしかしたらあまり知られていない季節の行事についてお話したいと思います。
十日夜とは、旧暦10月10日に主に東日本で行われていた、田の神様を祀る行事です。新暦でいうと2021年は11月14日。そう、今日が十日夜の日なのですね。日めくりカレンダーにもちゃんと書いてありました。
十日夜は、稲刈りが無事に終わり、田の神様が山に帰る日とされています。みんなでお餅をついたり、かかしを祀ったり、馬を労ったりして秋の収穫を祝いました。今年の収穫に感謝するとともに、翌年の豊穣も願います。
十日夜を調べていて面白かったのは、子どもたちが藁(わら/稲・麦の茎を干したもの)で作った太い縄で地面を叩きながら、「十日夜いいものだ、朝そばぎりに昼だんご、夕飯食ってひっぱたけ」と歌って歩き、大地の神様を励ますというならわし。これには、農作物にいたずらをする地面の下のモグラやネズミを追い払う意味もあるのだとか。藁の太い縄で頭上をばんばん叩かれると怖くて逃げだしちゃいますね。
この時期、農村では感謝を込めてにぎやかに神様を送り出していたのですね。
この日は月にも注目したいのですが、十日夜の夜に浮かぶ月は「十五夜(中秋の名月)」、「十三夜」に並ぶ秋の月見の一つに数えられています。
十五夜、十三夜、十日夜の3つで三月見(さんつきみ)なんて呼ばれたりもします。三つの月見ができれば、縁起がいいそうですよ。
月見にしても、十五夜や十三夜にくらべるとあまり知られていないと思いますが、そのならわしは何だか古き良き日本らしい、忘れたくない行事だと思いました。
さて、今日の空模様はいかがでしょうか。天気がよければ半月より少しふくれた美しい月を見ることができるので、よければ夜空を見上げてみてください。その時は、今年の収穫に感謝する気持ちも忘れずに、一緒に添えて。

