おはようございます、こんにちは。ライターの藤田華子です。
今日は日傘のお話です。突然ですがみなさん、傘の一生って考えたことありますか?
人の一生を「人生」というように、犬には犬の「ワン生」、猫には猫の「ニャン生」があり、たとえば鏡には鏡の「鏡生」、本には本の「本生(ほんせい)」があると思うんです。
※ぜんぶ私の造語ですので、あしからず。
ホテルの客室にある壁掛けの鏡は、何人の姿を映してきて、何を思っているのだろうと考えます。本も同じ。古本をめくり前の持ち主の折り目や書き込みを見つけると、この一冊が歩んできた道を想像します。
そこで、日傘について思いを馳せてみました。
日傘(ここでは傘も一括りに考えます)って、なかなかに数奇な「傘生」を辿るものだと思いませんか。
職人さんに心を込めて作られることもあれば、工場で大量に作られることもあり、長年誰かを日差しや雨から守ることもあれば、電車に忘れられてしまうシーンもあり、「誰かが忘れていった傘使っていいよ」なんて何人もの手にわたることも。これは、傘の宿命なのかもしれません。
日傘について調べたところ、日本ほど日傘を使う国は珍しいという興味深い調査を見つけました。
少し古いデータですが、2015年にとある空調メーカーが、東京在住の外国人100人を対象に「東京の夏の暑さ」をテーマにアンケートを実施したんです。すると、「東京の夏の暑さ対策で、感心した・驚いた対策があるか」という項目の1位は、「日傘をさす」(46%)だったそう。ちなみに、海外では日焼け止めクリームを塗るのが主流で、日傘を差すのは年配者という意見が挙がっていました。日本や中国といった東アジア圏特有の文化のようです。
ちなみに、雨傘よりも日傘のほうが歴史が長いことはご存知でしたか?
起源はなんと、約4000年前。エジプトやペルシャなどの彫刻画や壁画に、アテネの貴婦人たちが日傘を従者に持たせて歩く絵が残されています。
そして『日本書紀』には、百済聖王の使者が552年に欽明天皇へ幢幡(とうばん。仏堂に飾る旗)を献上したという記録も。この幢幡、最初は直射日光を避ける「日傘」として用いていたそう。
傘は貴い身分の方を直射日光から守るための道具であり、それと同時に権威の象徴でもあったのではないかといわれています。
昨今は、夏の酷暑による熱中症の予防や、強い日差しによる肌へのダメージを懸念し、小学校の登下校や外回りをするビジネスパーソンが使用するシーンも。売り上げも年々伸びてきているそうです。
実用面に加え、繊細な刺繍がほどこされたデザインや、レースなどの素材、日傘を差す人にこぼれ落ちる光までも楽しめるファッション性も日傘の醍醐味。夏の酷暑、日傘が少しでもあなたを守ってくれますように。傘の一生に思いを馳せて。
藤田華子
ライター・編集者
那須出身、東京在住。一年を通して「◯◯日和」を満喫することに幸せを感じますが、とくに服が軽い夏は気分がいいです。ふだんは本と将棋、銭湯と生き物を愛する編集者。ベリーダンサーのときは別の名です。
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