おはようございます、こんにちは、ライターの藤田です。
カラッと晴れた空の下でも、ジメッと蒸し暑い夜でも、大勢で飲んでも、独りで飲んでも気持ちを高揚させてくれる黄金の飲み物…私は、ビールって明るいお酒だと思います。
今日は、夏の風物詩・ビアガーデンについてお話ししましょう。
ビアガーデンの発祥は、200年以上さかのぼる19世紀。ドイツ・ミュンヘンにあるビールの醸造所が始めたといわれています。

まだ19世紀ですから、冷却保存技術はじゅうぶんなものではありません。衛生上の理由で、毎年4月23日(聖ゲオルクの日)〜9月29日(聖ミヒャエルの日)の暑い時期にはビールの醸造が禁止されていたそうです。
暑い時期にこそビールを飲みたいのに!と思いますよね。醸造ができない期間は、過去に作ったビールを飲んでいたそう。
なぜ外で飲むようになったのか、理由は諸説あります。ひとつは、大きな醸造所が川の流域に貯蔵所を構え、川の水を用いてビールの冷却保存を行っていたこと。川の近くには緑が茂っており、木陰にテーブルとイスを設置してビールを飲んだというものです。
そしてもうひとつは、当時の醸造所は地下にビールを貯蔵していて、貯蔵室が暑くならないよう地上に大きな栗の木を植え、その木陰にテーブルをセッティングして、ビールを提供したというものです。

どちらにしても、開放的な自然の中で美味しいビールを楽しみたい、そんな想いから始まっていて共感しかありません(笑)。
ところが、牧歌的にビアガーデンを楽しんでいたドイツで大事件がおきます。
住民がビアガーデンの騒音に苦情を訴えたことで、営業時間が21時30分までに規制されてしまったのです!それに反発したミュンヘン市民2万5千人が「ビアガーデンの伝統を守ろう!」と抗議デモを行い、バイエルン州は1995年に「バイエルン・ビアガーデン条例」を発効しました。
- バンド演奏は22時まで
- 22時30分にはラストオーダーをとること
- 23時にはお客さんは帰路につき、会場が静かな状態になっていること
この条例が適用されるのは、「バイエルン”伝統の”ビアガーデン」です。その定義は以下の通り。
- 緑に囲まれた「庭」のような雰囲気であること
- 食べ物の持ち込みが許可されていること
※レストランやカフェに併設されている店舗では、食べ物の持ち込みが禁止されている場合も。
2つ目の定義には、「ビアガーデンは社会的コミュニケーションの場であるため」と説明が加えられています。持ち込みをOKにすることで、裾野を広く、あらゆる階級の人が利用できる場所にしたいという想いが込められているのです。さすがはビール文化を重んじるドイツですね!

日本初のビアガーデンは、「スプリング・バレー・ブルワリー(現在の麒麟麦酒 )」の創始者であるウィリアム・コープランドさんが開催しました。自宅を改装し、外国人居留者と外国船の船員向けに開いたそうです。
その後、夏の風物詩として、デパートや公園で多くのビアガーデンが開催されるようになりました。
ちなみに、世界一長いビアガーデンは、ベルリンの「国際ベルリン・ビアフェスティバル」。驚くことに、会場の全長は約2.2km!2011年に「世界で最も長いビアガーデン」としてギネス世界記録に登録されました。
日本最大のビアガーデンは、「さっぽろ大通ビアガーデン」。なんとは約13,000席用意されているそう。盛り上がりが浮かびます。北海道の青空のした、地元の美味しいものを片手に飲むビールは、また格別ですね。

…執筆を進めてきて、あの金色の液体が恋しくなりました。最後にビールにまつわる好きな文学作品をご紹介して筆を置きます。
私が好きなのは、小説家・稲垣足穂の『一千一秒物語』(1923年)。明治時代よりも軽い飲み口で、炭酸がシュワっと効いたビールの表現がみずみずしい『はたしてビールびんの中に箒星がはいつてゐたか?』が収録されています。短編なので読みやすく、ビアガーデンに向かう道中にもおすすめです。
今年の夏も、ひまわりのように満開の笑顔で、ビール片手に乾杯ができますように。
どうかお元気でお過ごしください。

藤田華子
ライター・編集者
那須出身、東京在住。一年を通して「◯◯日和」を満喫することに幸せを感じますが、とくに服が軽い夏は気分がいいです。ふだんは本と将棋、銭湯と生き物を愛する編集者。ベリーダンサーのときは別の名です。
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