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梅雨の養生

旬のもの 2022.06.02

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天候が不安定で寒暖差も激しい今日このごろ。まだ朝夕の気温差にも慣れないのに、もう梅雨の話です。
「今年は早い梅雨入りになりそう」
なんだか去年も、その前も聞いた言葉がテレビから聞こえて来ています。

しとしとと続く長雨で、あちこちずぶ濡れになる梅雨。夏の日照りに備えて貯水する必要は有るけど、高湿度となる環境変化は、人体に様々な不調をもたらす「邪気*(じゃき)」となり、体を襲います。

湿気の邪気、「湿邪」にやられると、「水滞(すいたい)」という状態になります。水滞は文字通り不要な水分が体内に停滞した状態で、その停滞する部位により症状が変わります。その部位は、個々が元々もっている虚弱な部分や、普段の生活において負担をかけているところに現れます。

水滞の共通症状としては、手足の重だるさ、動かしにくさ、こわばり、頭重感、むくみ、鈍痛、痙攣、下痢や軟便、鼻水・痰・オリモノなど局所の滲出液や水疱などが増える、口のねばり、めまい、吐き気、腹部膨満感などが出ると考えられています。全て出る人も入れば、一部出る人もいます。

邪気* 中医学で心身に不調をもたらす気候変化の事。湿気の邪気、湿邪の他、寒邪、燥邪、熱邪などがある。

この湿邪は特に胃腸系に顕著に悪影響を及ぼします。食欲の低下や吐き気、軟便、下痢などを引き起こし、水分代謝がおかしくなり、その結果、むくみや頭重感、めまいなどを引き起こします。

特に普段から水分をよく飲む人や、サラダ、刺し身など生ものをよく食べる人、そして甘いものやお酒をよく取る人には影響が出やすい傾向にあります。もしあなたの舌の表面が、びっしりと白い苔に覆われていたり、黄色く粘つくような苔の状態になっていたりするときは、湿が体内に溜まった水滞状態なので要注意です。

湿邪にやられると、胃腸機能を低下させ、重く濁り、粘着して停滞し、下降しやすく体の下部に症状が出やすくなるという特徴があります。

湿を理解するには、スポンジを想像してみてください。スポンジは水を吸うと重たくなり、冷たくなります。これが“湿”の影響です。湿邪に侵されると、体が重たくなり、冷えやすくなります。そして体にとって不必要な水分である「湿」は、気血の流れを邪魔して痛みを生じさせたり、溜まってむくんだりします。湿は下に沈む性質があるので、むくみは足に出やすいのですが、その他の部位にも出ます。もし頭がむくんでしまうと、圧迫されて頭痛がおきますし、関節でおきると関節痛が生じます。

胸やお腹がすっきりしない、残便・残尿感、下痢、浮腫、頭・手足・体の重だるさ、関節の痛み、尿の濁り、オリモノが増える、食欲不振、目やに、痰、鼻水の増加なども湿邪の影響と考えます。

湿度が上がること以外にも、体の中で湿邪が生まれることがあります。
体の中で湿邪が生まれる大きな原因は「飲食の不摂生」です。

冷たい飲み物、氷の入った飲み物、冷たいビール、冷えたフルーツやサラダ、刺身、アイスクリーム、ヨーグルトなど、特に冷たいものの摂りすぎや、水分の摂り過ぎにより、消化器系の機能が低下すると、水分の吸収と運搬機能が低下し、水分代謝が低下するので、むくみや体の重さ、下痢や消化不良などの症状になって現れます。

そして、体の中に湿が溜まっている人は、外の湿の影響を受けやすいと言われており、中医学ではこれを「内湿が外湿を呼ぶ」といいます。むくみ、頭重などがあり内湿が溜まっている人や雨の日に調子が悪くなりやすい人は、外の湿度が上がる時期、湿邪由来の症状(重い、だるい、めまい、胃腸の不快感など)が出やすいと考えられます。

湿邪にやられているなと感じる方は、まず日々の水分摂取を見直して見てください。咽が渇いたと感じたら、まずうがいをして、それから一口ずつ、冷たくない、甘くないものを飲みましょう。白湯がいいですが、何でもいいです。ただ冷たいもの、乳製品、豆乳をさけて、甘くないものを選んでください。乳製品や豆乳は潤いを補うので悪化します。

その他湿邪対策の食材

■生姜やネギ、三つ葉やセリなどの香味野菜やかんきつ類は、その香りで、胃腸の働きを活発にし、体内の余分な水分である湿の排出を助けてくれます。冷やして食べると湿を生む要因になりかねないので、かんきつ類などは冷蔵庫に入れずに、常温で香りを感じながら食べるようにしましょう。

その他、この時期オススメの胃腸の動きをスムーズにするおすすめの食材は、しそ、葱、ショウガ、三つ葉、山椒、唐辛子、ニンニク、にらなど。

■キュウリやスイカなど、余分な水分を排出する作用のある食材もおすすめです。気を付けたいのは、トマトやキュウリ、冬瓜など、これらの食材の中には、水はけを良くする作用と同時に、身体の熱を冷ますものもあるので、生姜や胡椒などを添えて、常温または火を通して摂るようにしましょう。

その他おすすめ食材は、緑豆春雨、黒豆、西瓜、冬瓜、苦瓜、メロン、蛤、白菜、アスパラガス、きゅうり、高菜、とうもろこしのひげ、緑豆・小豆・インゲンマメなどの豆類、ハトムギ、とうもろこし、セロリなど。

胃腸は中医学では、食べたものからエネルギーをつくり出す場所なので、胃腸が弱ると、食材をエネルギーに十分に変換できず、ついついすぐエネルギーになる甘いものに手が行くようになります。しかし多量の砂糖は、喉が渇きを生みます。水分を摂ることで、胃腸はまた弱ってしまい、さらに湿邪が生まれる原因をつくってしまいますので、ご注意ください。

冷たいもの、水分はとにかく摂りすぎ注意です。特に外が暑くなってくると冷たいものを欲してしまいますが、冷たいものや過剰な水分は胃腸機能を低下させてしまうことを覚えておきましょう。養生では夏でも「井戸水より冷たいものは摂るな」と言われています。冷たいものが増える夏こそ温かいものを摂りたいものです。同じ理由から野菜や魚介類も生で食べるより、火を通して食べるほうがおすすめです。

湿の影響を最小限にするためには、食べるものも飲むものも、生のまま、冷たい状態で摂らず、加熱して摂るようにしましょう。そして辛いものを少し摂り、運動、入浴などで汗をかいて余分な水分を発散するようにしましょう。

最後にもう一点重要な対策は除湿機です。梅雨時期から夏場はぜひとも除湿機を使ってください。体の中に生まれる内湿は、飲食を調えることで軽減できますが、外の湿気は減らせません。除湿機や、布団の下に敷く除湿シートや除湿剤など、除湿器具をうまく使って、湿邪の影響を最小限にしましょう。

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櫻井大典

国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。

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