こんにちは。気象予報士の今井明子です。
夏の夜は生暖かく湿った空気が肌にまとわりつきます。宵の口、まだ暗くなりきっていない時間帯に、深い青色に染まった空を見上げながら外を歩くと、わけもなく気持ちが高揚するのは私だけでしょうか。
まるで熱帯のようなこの悩ましい空気。この季節はニュースや天気予報で「熱帯夜」という言葉を耳にすることも増えます。実は熱帯夜という言葉には気象庁による明確な定義があり、「夕方から翌朝までの最低気温が25℃を超える日」のことをいいます。
さて、夏に気をつけたいのが熱中症です。真夏日や猛暑日と呼ばれるような日は、昼間に外に出るとすぐに汗が吹き出し、まるで鉄板の上で焼かれているような気分になります。こんなときに外で作業しようものなら、すぐに頭がくらくらしてきて命の危険を感じますよね。
熱中症はカンカン照りの真夏の屋外でなるものというイメージが強いのですが、意外なことに室内でも多く発生しています。総務省消防庁によると、2021年の5~9月の熱中症での発生場所は住居(敷地内全ての場所を含む)が39.4%で、道路や仕事場、屋外よりも多くなっています。この数字には昼間だけではなく、夜に発生したケースも含まれます。つまり、寝ている間も熱中症は油断大敵なのです。
さて、皆さんは、夜寝るときに冷房をつけていますか? 1日中冷房のきいた部屋の中にいるとなんとなく体に悪そうに思えますし、電気代がもったいないとも感じます。それで夜に冷房を切ってしまう人も多いのではないでしょうか。しかし、寝ている間にも水分はどんどん奪われ、熱中症のリスクが上がってしまいます。確かに、冷房をつけずに寝ると、寝苦しくて朝起きたらパジャマが汗でびっしょりということも珍しくありません。
夜間の熱中症を防ぐためにはどうすればよいのか。まずは寝ている間も冷房や扇風機をつけっぱなしにすることです。このとき、風が直接体に当たらないようにすることがポイントです。そして、寝る前と起きた後の水分補給も忘れずに行いましょう。
夏は日の出が早いので、起床時間にはすっかり日が高く昇ってジリジリと照りつけ、うんざりしますね。でもそんな日もあともう少しで終わりです。すでに暦の上では立秋を迎えました。朝と夕のふとした風の涼しさに秋を感じる日はすぐそこに迫っています。
今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
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