おはようございます、こんにちは。ライターの藤田華子です。
子どものころから、秋が訪れるたびに決まってセンチメンタルな気持ちになることを不思議に思っていましたが、やっと理由がわかりました。東洋医学では、秋は「気」が弱る時期=憂いの季節。人肌が恋しくなったり、気持ちも沈みがちになったりするといわれているそう。このことを知ってから、原因は季節のせいで自分の問題ではないと知り、秋をより軽やかに過ごせるようになりました。
さて今日は、まさにいま収穫期を迎えているクルミについてです。
ドングリを拾うと「縄文時代の人はこれを食べていたのかな?」と当時の生活ぶりに思いを馳せてしまうのですが、同じようにクルミも縄文時代から食べられてきたナッツです。
お菓子に用いられることも多く身近な存在ですが、実はとっても栄養価が高い食べ物。ビタミンやミネラルをバランスよく含んでいるほか、生活習慣病の予防などに効果があるといわれるオメガ3脂肪酸が多いことでも有名です。
私も栄養士の友人に「ダイエット中の間食はナッツ、特にクルミがいいよ」と教わりました(油分も含んでいるので、数粒です)。縄文を生きた人々は、生活の知恵で体にいい食材だとわかっていたのでしょうか。想像するだけで面白い。
東洋医学には、「似たものは似たものを補う=似類補類(にるいほるい)」という考え方があります。クルミもその形から、体のある部分に効果があると言われているのですが、どこだと思いますか?
正解は、脳!
たしかに思い浮かべると、脳みそっぽく見えないこともないかも。きちんと栄養学的にも証明できるのですが、クルミは脳にいい影響をもたらす食品「ブレインフード」の代表格なんです。先ほどのオメガ3脂肪酸は脳の活性化にも有効とされていて、記憶力のアップも期待できるそう。ここから、5月ごろに咲くクルミの花には「知性」という花言葉がつけられました。
クルミの木は5~20mに育ち、花が咲いたあと3cmほどの“仮果(かか)”と呼ばれる実を付けます。その中にできる種子が、私たちが食べているクルミです。収穫量はアメリカと中国が多く、日本では長野県東御市が「くるみの里」として有名です。
収穫してから食べられるようになるまで、硬い殻を割らなくてはならない一手間もクルミの特徴です。古くは歯で砕いたり(!)石を使って割ったりしていましたが、いまはマイナスドライバーや専用のクルミ割り機、カナヅチなど金属製の道具を使います。ちなみにバレエの演目として親しまれている「くるみ割り人形」は木製で、ドイツの伝統的な工芸品でありクリスマスの装飾品。もちろん人形のアゴにクルミをセットし、背中のレバーをグッと下げることでクルミを割ることもできますが、クルミの種類によっては硬くて難しいものもあるようです。
魅力に溢れたクルミ、どうやって食べましょう!バーのマスターに聞くと、オリーブオイルと塩でローストすると美味しいと教えてくれました。うん、赤ワインと合いそう!秋の夜長、好きな映画を観ながら晩酌するのも素敵ですね。
なんて考えていたら、冒頭のセンチメンタルな気分はどこへやら。秋の空も、人の心も変わりやすい。いろいろある毎日ですが、旬の美味しいものを食べ、どうかみなさんが健やかに過ごせますように。
藤田華子
ライター・編集者
那須出身、東京在住。一年を通して「◯◯日和」を満喫することに幸せを感じますが、とくに服が軽い夏は気分がいいです。ふだんは本と将棋、銭湯と生き物を愛する編集者。ベリーダンサーのときは別の名です。
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